64話 ページ15
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「次ー、村田と本宮スタート位置につけ」
まさか鳴に見られてるとは思ってないAは
先生の指示通り半袖ハーフパンツになってスタート位置につく。
鳴が肌白い、と言っていたのはAがジャージの上着を脱いだから。
鳴(よかった、手前で走るってなって)
鳴(本宮さん運動苦手って言ってたけど…どうなんだろう)
大人しそうに見えて、案外言うことは言うし
それなりに仲良くなればコロコロ変わる表情。
今日なんていきなり髪型変えてきて一生懸命似合うよと言おうとしてるのになかなか言えず。
「ほいじゃあー、よーいどん」
気だるげな体育教師の合図で測定がスタート。
それと同時に素早く走り出すAの姿。
普段のほわほわした、小動物みたいなイメージが一転した瞬間。
鳴「え、めちゃくちゃ速いじゃん」
開いた口が塞がらないとはこのことか。
正直鳴はAはてっきり運動音痴だと根拠も何も無く思い込んでいたのだが、走ってる姿は普通に運動できる女子って感じ。
かわいいよりもかっこいい、綺麗という表現が良く似合う。
「成宮誰見てんだよ」
「速いって…本宮？」
多分きっと興味が出なかったら
好きにならなかったら、こうやって目で追うことは無かった。
目で追ってたから気がついた意外な表情。
「え、成宮は本宮みたいな大人しいやつタイプ？なんか意外だな」
知れば知るほどもっともっと仲良くなりたいと思うし
やっぱ好きだなって気持ちになる。
鳴「本宮さん、かわいいと思うけど？俺は」
「おっと爆弾発言出たなこれ」
鳴「残念だねー、お前ら話したことないからわかんないんだってば」
「お前となりじゃん、つーか本宮って彼氏いなかったか？近づけねぇよ」
彼氏がいるとかどうとか、鳴の耳には届いておらず
いつの間にか走り終わって髪の毛を結い直すAを見ていた。
ひとつひとつの動作が綺麗で惹き込まれる。
鳴(うわ、目合った)
測定が終わりタイムを聞き終えたAが藍里の元へ行こうとしたその時
バッチリ目が合った。
それなりに離れた距離でもないし見たことは完全にバレていることだろう。
「お、本宮こっちみてんじゃん」
「成宮いつものうるささどこいったんだよー、こういう時こそなんか言わねぇと！」
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作者名：ちあき | 作成日時：2020年4月21日 19時
