108話 ページ10
.
鳴「俺の事、好きになってよ」
鳴「Aちゃんが俺の事好きになってくれたら俺すっごく嬉しい」
悪戯っぽい笑顔が瞬間
柔らかい、優しい笑顔に変化した
今まで見てきた鳴の姿はそれこそ悪戯っぽく笑ってたり、拗ねてたり、寝てたり…そういうものだったのに
今初めて見せたその表情に心が動かされる
思わず頷きたくなるようなそんな雰囲気。
A「成宮くん、私ね」
住む世界が違うとばかり思ってた
でも今この時目の前にいる彼は
自分と同じような普通の男の子そのもの。
意外なことにその距離は遠いようで実は近くて、きっと手を伸ばせば届く存在。
A「まだ成宮くんのことはっきりいって全然知らないし何考えてるのかわからない」
鳴「うん」
A「だから教えて、成宮くんのこと」
鳴「いいよ、好きなだけ教えてあげる」
好きな食べ物も
好きな色も
きっと1番この世界で熱を、時間を、全てを注いでいる大好きな野球のことも
まだ何も知らない真っ白の状態
触れることできっと真っ白から変われるはず。
鳴「ねぇAちゃん」
鳴「Aちゃんさえよかったら今度さ─」
正直、いい雰囲気だと思った
Aの言葉に鳴は内心浮かれていた
これは結構上手くいくんじゃない!?と期待し始めてもいた
連絡先を交換しない?練習見にこない?
その言葉を口にしようとしたのに
そう上手くはいかないようで。
「成宮鳴」
空気を全くもって読んでくれない
先生が2人の間に現れた
こっそりいい感じの雰囲気を漂わせてた2人を見てた藍里もこれにはがっかり
鳴「ちょっと、今お取り込み中!後にして!」
「いいや、約束は守ってもらうぞ」
鳴「はぁ?約束?何それ俺とAちゃんの話よりも大事なわけ?せんせー」
「はぁ……お前も少しは本宮を見習え成宮」
自分よりも遥かに歳上でもある先生に対しても一歩も怯むどころかあっちに行けと言う
今鳴にとっては先生との会話よりもAと連絡先を交換し、そしてついでに練習を見にこないかと誘うことの方が大事
でも先生にはそれよりも大事な話がある。
「今日まで提出のレポート、期限を4日過ぎているが……当然出来てるんだろうな」
Aは見てしまった
鳴の肩がビクッと大きく跳ねたのを。
116人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時