検索窓
今日:11 hit、昨日:1 hit、合計:36,282 hit

147話 ページ49









「お、噂をすればあそこにいる」








自分以外の他の男子に言われるといつもモヤモヤするけれど

野球部のやつとなればもっとモヤモヤする

もうモヤモヤを通り越してイライラに近い感情

たしかに見た目もいいが中身がとってもいいことを知らない彼らに苛立ちながらも

心のどこかで安心している部分もあった。









「あ、成宮じゃん」

「ほんとだ」









Aの隣にいた藍里が先に鳴がこっちを見ていることに気がつきAに声をかける。

ちょっと気になって2人の方を見るとバチッと確かにAの目が合ったのだが

すぐに慌てて逸らされてしまった。









「(なんでAちゃんから言ったくせに)」

「(すぐそうやって恥ずかしがって逸らすの?)」









若干不貞腐れながらもそれ以上にAが好きでいつも見つけるとすぐ話しかけたくなる鳴は

今回もまたAを見つけるなり床につけていたエナメルバッグを担ぎ、近寄っていく。









「Aちゃん」

「何でしょう」

「冨田の後ろに隠れてないで出てきなよ」

「嫌だ…」

「何?俺の事怖いの?」

「違うけど、言わなくちゃ分からないの?」









最初の頃より言いたいことを素直にぶつけるようになっているA

もちろん言わなくたって鳴にはわかっている

どうしてAが隠れているのか彼女の顔を見ていれば。

さっきから何故か頬が熱い。









「……帰るの?」

「ううん、藍里の部活が終わるまで自習室に行ったり学校の中をブラブラしてる」

「冨田と帰るの?彼氏は?」

「今日は機嫌がいいから許してくれた」

「そっか」









藍里も彼氏(仮)もAと帰れるなんて羨ましいといつも思ってしまう

"一緒に帰ろう"なんて寮生活をしている鳴はきっとずっと言えないかもしれない言葉だ









「よかった」

「まだ明るい頃だからさ、大丈夫だとは思うけど気をつけてね」









心の底から出た本音は

よかったというこの一言に尽きた。

正直Aとその人がどんな感じにギクシャクしてるかはわからないが

藍里の話を聞く限りあんまりいい関係じゃないことくらいはわかっている。









「うん、ありがとう」









でもそんな心配する気持ちを吹き飛ばすように

Aは少し照れたように笑った









「またね、成宮くん」

「ん、またね」









今日も待ってが言えないのがもどかしかった

続編→←146話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:ダイヤのA , 成宮鳴   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。