144話 ページ46
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"じゃあもしも"
"私が成宮くんのこと好きだよって"
"言ったらどうするの?"
午後の最後の授業が終わり
帰りのホームルームが始まる
みんなだるそうに教卓にいる先生の話に耳を傾けているが
Aだけはそうじゃなかった。
A｢(とんっっっでもない………)｣
A｢(どうして私あんなことを聞いちゃったの？)｣
あの言葉を口にしてから
ずーーっと永遠に繰り返される自分の声
自分の聞き慣れてるはずの声がまるで
自分の声じゃないように聞こえた瞬間
後の記憶が薄れるほど自分で自分の言葉に衝撃を受け、パニックに陥っている。
A｢(元はと言えば、最近藍里があんなことを言うからおかしくなったんだよ)｣
A｢(それまで普通に話せてたはずなのになんか…ムズムズする)｣
最初に話した時はそれこそ
今のようにここまで話せる関係になるとは全然思いもしなかった
たった1回か2回くらいであとは関わりを持たない
"友達"というほどでもない沢山いるクラスメイトのうちのひとりで名前と顔が一致しないやつ
それで終わるかと思っていたのに現実は違う
A｢(こんなことになるって)｣
A｢(全く想像できなかったから)｣
何も知らない時はただ
自分と住む世界や見える世界が違うと
そればかり思っていた
自分はどこにでもいる誰かに自慢できる才能も何も無い平々凡々な人間で
反対に彼はこの学校の人間なら誰もがその名を知る存在で才能に溢れ、注目を集める人間。
A｢(失礼だけど)｣
A｢(最初は怖そうとか思ってた)｣
彼の周りにはいつも誰かがいる
でもその輪の中に自分はいない
Aにはその存在が眩しすぎると思った。
近くにいたら火傷するんじゃないかと思うくらい太陽みたいな人だと。
A｢(でも今は違う)｣
A｢(一緒にいてとても楽しい)｣
初めて話した時は心臓が止まるかと思ったし
自分よりも背丈があって
時々見える冷ややかな目が怖いと思った
でも話してみれば真逆で
一緒にいて楽しくて心地良さを感じる人だった
それを知ってからAの見える景色が目まぐるしく変わる。
A｢(だからあんなこと言ったのかな)｣
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作者名：ちあき | 作成日時：2020年6月16日 1時
