139話 ページ41
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今日はもしかしたらいい日なのかもしれない
そう思ってもいいくらいとにかく今日は
いいことばかり
鳴「部活以外学校はつまんないとか思ってたけど」
鳴「Aちゃんといると楽しいから今はそうでもないよ」
藍里が言っていた言葉が
Aの頭の中を駆け巡る
優しくするのも、あんな顔をするのも全て
Aだからだよといつも親友は言う
そんな事ないと思っているけれど
心のどこかでそうだったらいいのにと思ってしまう自分に戸惑う。
A「(その楽しいってどんな意味?)」
A「(なんて聞けるわけないよ)」
A「(それに…そのまんまの意味だろうし)」
きっと友達としての楽しいという感情で日頃から優しかったりするのは
友達だからいいようにしてくれているんだ
そう言い聞かせてきたけれど最近それが難しくなりつつある
友達じゃない何かならいいのにって心の隅で願ってしまう
A「私も、同じ…」
それはどんな意味?
あの時ああしてくれたのはどうして?
色んなことを聞きたいけれど
それら全てをグッと押し殺してやっと出た言葉
自分がいるから楽しいと言われて言葉にし難い気持ちに今包まれてると言うのに
出た言葉はあまりにも簡単でAが感じている気持ちのほんの一部分しか伝わっていない。
A「ただ何となく学校来てただけだったけど」
A「成宮くんと同じクラスになって、隣の席になって」
こんなにバクバクとした心臓の音を聞いたのは
君に出会ってからが初めてで
今まで感じた音とは違う
根拠も何もないけれど違うって言いきれてしまう
A「毎日おはようって声かけてくれるのが嬉しくて」
A「明日が早く来ればいいのにって思うことが増えたの」
授業中だってことはもう忘れていた
小さな声でも言葉にしたかった
今どうしても言いたかった
君に出会ってから見慣れた景色が全て
塗り替えられたように
宝石のようにキラキラと輝いていることを。
A「なんかごめん、変なこと言っちゃった」
A「今のやっぱりなしに…」
少し上を向けば海のように青い目と目が合う
気になる人の表情は
きっといつかの自分と同じ
鳴「するわけないじゃん、聞いちゃったし」
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時