136話 ページ38
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藍里「あんたやっぱウブっつーかさ、究極のヘタレだよね」
鳴「は?」
上から目線で見下すように笑う藍里
机に伏せていた体を起こし苛立ちを隠しきれてない鳴
この2人はもしかして仲が良い?と思いきや実は全然そうでもない
Aがいなかったら常にこれだ。
藍里「だってそうじゃん、恥ずかしくてなんも出来ないんでしょ?」
鳴「恥ずかしがってなんかないし」
藍里「じゃあなんで連絡先交換できてないんだよ」
鳴「それは……」
その気になればきっとできる
できるのだろうけれどやらないだけ
いざ聞いてみようと話しかけるとどうしても言葉が出なくなって
違う話題を出して誤魔化してしまうのだ。
藍里「てか真面目に起こせよ、成績が落ちる」
鳴「でもさぁ、なんか可哀想じゃん」
藍里「あーはいはいAの寝顔を眺めてたいんですか、キモッ」
鳴「あのさ、発言に気をつけなよムカつくから」
別に見たいわけじゃないと言ったら嘘になる
正直ちょっとだけ気になる
気になるけれど気にしてないフリ
藍里「何が都のプリンスだよドスケベヘタレプリンスの間違いでしょ」
鳴「どこが!たまに嫌味言ってくる白河より酷いんだけど」
藍里「さっさと起こせ、そろそろ先生がまたこっち来る」
後ろを向いていた藍里が前を向き真面目に勉強し始めたのに鳴だけはしばらく呆然とし続け
起こすか、起こさないか、ひとりで考えていた
起こした方がいいのだろうけれど別にそれ俺じゃなくてもよくない?という考えが邪魔をし続けている。
鳴「(冨田が起こせばいいのに)」
真面目かと思ってたけど割とそうでもなかった
基本自分と比べたらしっかりしてて、大人で
落ち着いているけれどどこか抜けている
鳴「Aちゃ…」
「じゃああと隣の席で答え確認し合っておけよ」
鳴「……今の絶対わざと」
起こそうと思って手を伸ばした瞬間
先生がお決まりの言葉を放った
隣の席のやつと答え合わせをしろ、なんて言われてしっかりやるのは小学生くらい
大体の人は適当にはいはい合ってる合ってるで流して即終わりか、話しかけたりしない。
鳴「(そーいや去年は…ぐいぐい来られて困ったっけかな)」
鳴「(隣の女子が落ち着きのない人で、俺よりうるさかったと思う)」
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時