131話 ページ33
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鳴がカルロスと白河と話している間
Aはいつもと変わらず藍里とおしゃべりしながら昼休みをすごしていた
そんなAの右手に握られてるのは紙パックに入ったバナナオレ
時々それを飲みながら藍里と話す。
藍里「でさ、そん時……ってどこ見てんの?」
A「え?いや、どこも…」
藍里「いや嘘つくのド下手くそかよ」
A「嘘ついてないし」
藍里の話に耳を傾けながら頷いたり話に混ざったりしていたAだったが
どうもさっきからキョロキョロと落ち着かない様子が目立つ
特に廊下をよく見ている
藍里はそんなAを見て全てを察した。
藍里「そんなに成宮がいないと落ち着かないわけ?」
A「えっ…何でそうなるの?」
藍里「いやだって成宮いなくなってから廊下見たり色々落ち着きがないから」
A「そんなことない」
本人はそう言って誤魔化すがこれは嘘だ
明らかにおかしい
鳴がいなくなってから落ち着きがなくなったし何かを気にしてるように見える
そもそも最近いつもおかしいのだ
何も細かいこと気にしなかったAが気にするようになった。
藍里「もうそれ好きじゃん、ムカつくわーいつまでも自覚しないの」
A「そんなんじゃないって何回言えばわかるの」
藍里「だってそうじゃん、ずっと何か待ってるような素振りしてさぁ」
藍里の指摘にちょっと不貞腐れたような顔をするA
そしてそのままぎこちない動きで誤魔化すようにバナナオレをストローで吸った
かつてバナナオレをこんなに嬉しそうに、愛おしそうに見る女子高生はいただろうか
いや絶対にいない、このバナナオレは幸せ者だと藍里は思う。
藍里「言葉と顔が合ってないんですけど」
A「言ったじゃん、バナナオレ好きなんだってだから嬉しくて緩んじゃうの」
藍里「嘘つけ!!!」
A「嘘じゃないってば」
バナナオレを貰った時も
こうして今飲んでる時も
終始表情が緩んでいるA
その理由がバナナオレが好きだからのひとつだけなのは絶対嘘に決まっている
もっと他にあるはずだ、例えば─
好きな子から貰ったから嬉しい、とか。
藍里「あ、成宮」
A「!」
藍里「嘘だよ」
A「…………ひどい」
藍里「もう自覚しろって!!うざったるい!」
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時