【◇】銀木犀 3 . (ページ28)

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126話ページ28

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｢どんなやつ？｣

｢かわいい？それとも美人系？｣

｢なんて呼んでるんだ？｣

隙あらば鳴が気になっているAのことを聞き出そうとする先輩たち

最初は拗ねまくっていた鳴もだんだんと照れくさい気持ちが勝ったのか目線が泳ぎまくり

原田｢お前ら、今はとりあえずこっちに集中しろ鳴の話は後からだ｣

鳴｢雅さん？今なんて言ったの？｣

原田｢お前の話は後からだ｣

鳴｢なんで雅さんまで聞く気満々なの？そういう話1番興味無さそうな顔面してるのに！｣

原田｢どういう顔だ｣

いつも通り失礼なことを口にすれば

すぐに頭に直撃する原田の拳

ギャーギャー騒いでいた鳴があまりの痛さに黙ったところでやっとミーティングが始まった

原田｢もう夏大まで時間がねぇ、気を引き締めて練習に取り組んでいくぞ｣

もう夏大まで時間がない

その言葉を聞いてハッと現実に引き戻された

もう夏大まであまり多くの時間は残されていない

あっという間に夏が来て、大会が始まり、大会が終わり、3年生が引退する

去年感じた時の流れの速さや甲子園のあの夏特有の暑さを今でもはっきりと覚えている。

原田｢鳴、特にお前はもう少し練習をサボらず全て参加するように心がけろ｣

鳴｢わかってるよ、勝つためなら俺はなんだってする｣

今年の夏こそ甲子園で優勝する

その気持ちはずっとあった

そしてもし、わがままが許されるのならば

今年の夏の試合をあの子(・・・)に見てもらいたい

勝ってやるという気持ちは元から強い、でもあの子が来てくれたらもっと頑張れる気がするのだ。

原田｢じゃあミーティングはこれで終わりにする｣

平井｢ここから忙しくなってくるね｣

吉沢｢ああ｣

気になるあの子は応援に来てくれるのだろうか

そんなことを頭の片隅で少し考える。

野球のことを知りたい、とわざわざ言ってくれたことを思い出しては

胸の中に嬉しい気持ちがいっぱいに広がる。

カルロ｢急に静かになったと思ったら何考えてんだ？｣

鳴｢うげっ……声掛けてこないでよ、今すごいいい気持ちに浸ってたんだからさ｣

白河｢どうせ本宮のことだろ｣

鳴｢あーーーっ！！バカ！なんで名前言っちゃうの聞こえるじゃんよしさん達に！｣

それとは別に

秒でまた現実に引き戻されたが。