123話 ページ25
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ミーティングは大事だと分かってはいるものの
教室から出たくない
でも出なかったら色んな意味でまずい
そう思った鳴は渋々ミーティングに参加することを選んだ。
白河「残念だったね、最初からいればもう終わってたかもしれないのに」
鳴「でた白河のそういうとこ!」
カルロ「悪ぃなAちゃんに冨田、ちょっとコイツ借りるわ」
藍里「いや全然どうぞお好きに」
鳴「お前ら揃いも揃って何なの?ムカつく!」
バナナオレ片手に席を立つが
数歩歩いたところで足が止まる
くるっと振り向けばきょとんとした顔のAが目に入った
鳴「Aちゃん、バナナオレ飲める?」
A「うん、飲めるけど…?」
鳴「じゃあこれあげる、キャッチして!」
A「え、キャッチって」
本当は飲むか渡すか迷っていた
迷った末に飲むことを選ぼうとしたのだが
忘れていたミーティングの存在を思い出しもう冷たい状態のバナナオレは飲めないだろうと考えた
飲まないのも勿体ないし、それにAが飲めるのならと
軽くバナナオレを投げた。
鳴「はい」
A「うわっ……と」
鳴「ナイスキャッチー!それ俺の奢りだからお金とかいらないから!」
A「成宮くんは…それでいいの?」
鳴「それでいいのって?」
A「ううん、やっぱりなんでもない」
"ありがとう"
そう言って柔らかい笑みを浮かべたAの顔を見るとやっぱり渡してよかったと思えた
ぬるくなって飲まなくなったら勿体ないとか思って渡したけれど
喜んでくれたなら最初から迷わずあげていればよかった。
藍里「アツアツですな」
A「何が?」
藍里「いーや、こっちの話だよ」
Aの笑った顔を見ては
その胸をばっちり射抜かれてしまったのか
さっきまで普通に歩いてたのに
いきなりぎこちない動きになって鳴は白河やカルロスを追いかけていく
藍里はわかりやすすぎる鳴を見てはニヤニヤが止まらない。
藍里「よかったじゃん、バナナオレ」
A「……………うん」
藍里「Aにだけだと思うけどね、成宮があんな優しそうな顔するの」
A「そんなことないよ、きっと」
見てるだけで甘ったるかった
こういうことを青春と呼ぶのだと藍里は理解した
本当に甘いし、眩しすぎる。
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作者名:ちあき | 作成日時:2020年6月16日 1時