第291夜 ページ8
連れてこられた部屋は思った以上に酷かった
『けほっ…』
開けた瞬間に舞う雪のような埃に咳が漏れる
奥に小さなベッドが一つと、古びたテーブルが中央に一つ
点くか分からないランプが天井から垂れ下がり、脚の折れそうな椅子が一脚あるくらいで、他には何も無い部屋だった
『こんなとこ初めて〜…』
元々は使用人の部屋だったのだろうか
狭く古びた内装はただでさえ低いテンションを更に盛り下げてきた
「やはり替えてもらおう、とてもじゃないが過ごせないだろう」
『いいよ別に』
魔法で何とかなるし
そう、手を翳した時だった
パシッ
『……はい？』
持ち上げた腕が強い力で引き止められた
太くガタイのいい手が僕の腕を掴んでいる
「魔法は駄目だ。君には今後ここにいる間……いや、ホグワーツ以外の場所での魔法の使用を固く禁ず」
僕の腕を掴んだキングズリーさんが厳かに咎めるように言った
と同時に懐から重苦しい枷を取り出した彼に僕は眉を寄せる
「最早特例は通用しない。今まで未成年でありながら学校外で魔法が使えたのは、家の存在が大きいのは分かっているだろう」
これからは他の未成年と同じように、日常での魔法の使用は許さない
そうキングズリーさんが厳しく言い聞かせてきた
そして何より
『＿＿
ここは騎士団の本拠地らしい
確かに彼らからしたら場所を特定される危険は取り除きたいだろう
「分かってくれたのなら何よりだ
さぁ、杖を取り出して。これは談話室で保管しておこう」
渋々言われた通りに神の杖を取り出すと、キングズリーさんは杖を鎖で雁字搦めにしてしまった
鎖の先を持って引き摺って運ぶのだろう
「あとは君自身の魔力を抑えさせてもらうよ
無意識に魔法を使うのは周りや君にも危険が及ぶ」
正論を重ねられて何も反論出来ない
だけど拘束具は息苦しく動きにくいからつけたくないのが個人的な意見だ
「…悪いね」
『…仕方ないでしょ』
苦笑しながらもキングズリーさんは僕の手足、それから首(ここも魔力の流れが激しい部位だ)に枷をつけて、僕が勝手に取らないよう厳重に鍵をかけた
これでもう僕は魔法は使えない
汚染から気を紛らわすための、発散する術をなくしてしまった
『はぁ』
溜息をついてベッドに身を投げる
硬くて薄いマットに余計ストレスが溜まるのであった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
