第303夜 ページ20
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ふと、目が覚めた
泥のような眠りから覚醒し、僕は熱に浮かされたようなぼんやりとした感覚のまま身を起こす
寝汗でシャツが肌に張り付いて鬱陶しかった
『……』
眠る前の事はあまり覚えていない
ただ、また何かやらかしたんだろうなという漠然とした確信はあった
『……はぁ』
夢見は良いとは言えない
ひたすら黒い波に溺れるような、闇に揉まれる感覚だけが鮮明の夢
これなら口煩い夢魔と格闘する夢の方がまだマシだ
…あいつにはもう、暫く会っていないけれど
上手く逃げ仰せたんだろう
『……風呂』
誰に言うでもなく呟くとそっと僕は床に足をつけた
時刻は分からないが、部屋の外に人の気配はない
皆寝静まっているだろうと期待して、僕は誰かが置いてくれたタオルを片手に扉に手をかけたのであった
「え」
『あ』
「…あら」
「おや」
シャワーを浴びてさっぱりした後の事だ
濡れた髪のまま居間を横切ると、タイミングがいいのか悪いのかちょうど扉が開かれて部屋にいた人達と目が合い、声が漏れた
僕らは暫し見つめ合って、静止する
先に声を上げたのは僕だった
『…ごめん、すぐ戻るよ』
約束を破った事、それからセドリックへの申し訳なさから、僕は縮こまって踵を返す
「いやいや、逃げなくて大丈夫だ。Aこっちへおいで」
逃げるように背を向ける僕を止めたのはルーピン先生
掴まれた腕は優しく、温かい
「大丈夫よ、シリウスは今いないから」
「さ、こっちへおいで。風呂上がりでも、廊下は冷えるだろう」
静止から解き放たれたウィーズリー夫妻が僕を優しく手招きする
久方ぶりに温もりを感じた僕の胸が、息を吹き返したようにじんわりと熱くなった
「ちゃんと乾かさないと。風邪をひくわ」
『……え』
僕のために空けられた席
そこに腰を下ろすと同時にモリーおばさんが僕からタオルを奪って髪をごしごしと拭き始めた
魔法の方が速いのに
わざわざ手のかかる事を、どうして
居間のテーブルに積み上げられた資料が物語るように、きっと忙しくて疲労も溜まっているだろうに
でも、タオル越しに感じる手はおおらかで清々しい
「久しぶりにお茶が飲みたいんじゃないかい？」
ウィーズリーおじさんが温め直したポットを手に問い掛ける
「さて、私の淹れたお茶は口に合うかな？」
悪戯っぽく笑う姿に僕は頬が緩むのを自覚した
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
