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第330夜 ページ47

考えの読めない好々爺

大事のためには時に小事を切り捨てる事も出来る人だ


そう思っていた分、得体のしれないぬるま湯の侵食は速かった


『……そう…。僕を気遣ってくれた。ただそれだけなんだね…』

「A…?」

訝しげに僕を呼ぶダンブルドア先生

微かに揺れた蒼を隠すように一度目蓋を閉じると、僕はゆっくり目を開けて先生と瞳を合わせた




『必要の部屋を教えてもらってから、僕は何度も安寧を求めてここにやってきた』


授業をサボるとき

一人塔にいるのが寒々しいとき

誰の気配もないひとりきりの空間が欲しいとき



『今も同じさ

僕が安らぎを再び手に入れるためにはここが必要なんだ』


汚染されてしまった体

特効薬もない現状、僕に出来ることは新たな解決の糸口を作り出すこと



また普通の日常に戻るために

いつものAを取り戻すために、ここ最近必要の部屋付近を彷徨いていたのだと、そう先生に打ち明けた



『あとは隠し部屋も兼用してるかな

ほら、今カエルが寄生してるでしょ? 見つかったら面倒だからさ、部屋ではせずにここで研究を進めてるんだ』



だから本当に誰かを害する意図はないよ

そう断言すると先生は一拍置いて「そうか…」と呟いた



「最近君が必要の部屋に足を運んでおるようじゃったから気になっておった

…そうか、君は諦めておらんのじゃな」

『本当は今すぐ楽になりたい気もするんだけど…周りが許してくれないだろうしね』


汚染に抗え。どれほど辛くても負けるな

誰も僕が諦める事を許してくれない



僕からしたら無責任だと思わなくもないが、皆の言葉は優しく温かい気持ちから生まれたものだ。だから無碍にもできない




ヴォルデモートが"くだらないもの"として切り捨てた、人が人を想う心



そうだ、こんな事になってようやく気が付いた



僕は皆からとても____……






『……ま、そういう訳だから。先生が心配する必要はないよ』


再度そうダンブルドアに言い聞かせる

先生は半月眼鏡の奥で緩く瞬きをすると静かに何度も頷いてみせた


「君を信じよう、A」

『…ありがとう』


僕は小さく笑う




「もし君が汚染を乗り越えたとしたら間違いなくマーリン勲章勲一等ものじゃな」

『そういえば先生マーリン勲章剥奪の危機なんだって?』

「わしは剥奪されても構わんよ。カエルチョコのカードにさえ残ればそれでいい」

『へぇ、先生らしいね』


久方ぶりの和やかな会話が午後の空気に溶けていった

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作品ジャンル:ファンタジー
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…!!話の展開にとてもワクワクしてます!!更新応援してます! (2021年12月17日 0時) (レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお!!!! (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです!!更新待ってます!頑張ってください! (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…!!! (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2021年9月12日 16時

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