Prologue ページ1
そこは、海の恵みを受ける小さくも平和な美しい国。空高く太陽が輝く中で、老若男女が港の埠頭に集い始めました。
彼ら彼女らの視線を集めるのは、都でも名物となっている男の語り部。語り部は面白おかしく噺を咲かせ、聴衆を喜ばせるのです。
「さあさあ今日もまた盛況。はてさて、次は一体何を話すか」
語り部は遠い水平線を臨み、思いついたような顔をしました。
「そう、海の底に住んでいた姫君の噺をしよう。愛に溢れた、素敵な御伽噺を」
語り部の噺を聞いていたのは、人だけではなかったようです。桟橋の下にいた魚の親子も、彼の話を聞いていたようで、母魚は可笑しそうに大笑いをしました。
「馬鹿なニンゲンは、人魚はいないけれど愛はあったとお思いだ。それは逆だってことを、アタシら魚は知っているのさ」
これは、遠い遠い昔にいた、哀しくも美しき人魚の姫君の物語――
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芙蓉(プロフ) - 影狼さん» そう仰って頂くことが、何よりも物を書く励みになります。“人魚姫”は私にとっても思い入れのあるもので、何としても良い作品を書きたいと思っておりました。影狼さんの心を少しでも揺さぶることができたこと、本当に嬉しく思います (2018年2月20日 21時) (レス) id: 4139a6982c (このIDを非表示/違反報告)
影狼 - 何回も読んでいるのに、なぜか毎回号泣して、画面が凄い濡れます。名前をつけたり、言葉遣いを変えるだけなのに、この作品は素晴らしすぎる! (2018年2月18日 15時) (レス) id: eaea3a9226 (このIDを非表示/違反報告)
芙蓉(プロフ) - 神鳥さん» ちょっと端折られていますね。人魚は確かに王子を愛しました。そして彼の持つ永遠の魂に憧れ、人間になりたいと願ったのですよ (2017年8月14日 21時) (レス) id: 4139a6982c (このIDを非表示/違反報告)
神鳥(プロフ) - 私が聞いた話によると、人魚姫が泡にあったあと妖精になり、三年間善い行いをすれば、不滅の魂になると聞きました。つまり人間になれるということです。人魚姫の目的は人間になることだったので。しかし、あまりこのことは聞かないので、私の勘違いかもしれません (2017年8月14日 21時) (レス) id: c9a08bd565 (このIDを非表示/違反報告)
芙蓉(プロフ) - るいさん» ありがとうございます。そう言っていただけるだけで嬉しい限りです。期待にお応えできるよう頑張りたいと思います (2017年8月14日 19時) (レス) id: 4139a6982c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:芙蓉 | 作成日時:2017年8月14日 17時