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「そう云えば、知っているかい? 」
「ん、なにが? 」
昼下がり、探偵社にて。
江川芳から受けた傷の最終治療を終えた私は、今からうずまきに行こうというところで治に捕まった。
二人で探偵社のエレベーターに乗って、うずまきを目指す。
「うずまき、新しい給仕さんがいるらしいよ」
「へぇ、どんな子だろ。楽しみだなぁ」
にこにこ顔の治やけに上機嫌だなぁと思いながらうずまきの扉を開けた。
「いらっしゃいませ! 」
治がストレートになったような髪型の可愛い系の男性が出迎える。藤色の瞳が印象的で、笑った時のえくぼが可愛い。
声も大分と中性的だ。
「こんにちは。ごめんなさい、私お客さんじゃなくてこの店の給仕長なの」
「和泉Aさん、ですよね…。
僕は新しく入社した七瀬司と云います! 」
司くんはこっちへ、と云い席へ案内する。どうやら私に仕事をさせない気らしい。注文まで聞いてきた。いらない、と云ったのに治が私の好物 プリンを頼むので渋々ここに残ることになった。
「そう云えば江川芳、あれまだ生きてるらしいよ」
「へぇ、そうなの? 」
「なんか首領が逃してあげたんだって。相変わらず甘いなぁ…」
他愛のない会話に、新しい給仕さん。
元の生活が戻ってきただけで嬉しい。
「あ、それとさぁ」
「なによ、」
「A、結婚式間近なのに痩せなくていいの? 」
やけにニヤニヤ顔で聞いてくるので試しに二の腕を触る。ぷに、とした感触に背筋がゾッとする…。
「や、や、やばい…っ、」
二ヶ月後に控えた結婚式。
急いで痩せなきゃ、ドレスが入らないかも…!
「お待たせしました、プリンです」
「ぁ、ぁ、ぁう……プリン…」
「ふふ、私が食べてあげよっか? 」
「…くぅ……ぷ、プリン…」
葛藤する私。そんなことで悩んでいるから、小声で会話する二人に気づかなかった。
「…うずまきから追い出したりしないんですか? 」
「そんな面倒なことしないよ。江川芳」
「……今は七瀬司なんで」
「もうAに危害を加えようとしないでね」
「はいはい。…でも、江戸川乱歩がうかうかしてたら取りますから」
「あれー、Aじゃん。プリン食べないの? じゃ、頂きまーす」
そう云って私のプリンの一欠片をかっさらっていく乱歩。
「わ、私のプリンー!!! 」
「じゃあ早く食べれば? 」
「云われなくても食べるわよばーか!! 」
喫茶うずまき給仕長、和泉A。
今日も今日とて、婚約者と喧嘩してます。
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黒灰白有無%(プロフ) - 完結御目出度う御座います喧!嘩っぷるなのは初めて読みました!危ない展開もありましたが無事幸せそうな日常に戻れたみたいでよかったです!!江川さんも良いキャラで好きですw喧嘩っプル→1デレがもう好きすぎました!これからも応援しております!!コメント失礼致しました (9月9日 5時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ?まなかさん» 江川ちゃん褒めてくれてありがとうございます!!!!江川ちゃん可愛いですよね江川ちゃん(強引)ふっふっふ…今夜は寝かせませんよ!← (2018年2月11日 19時) (レス) id: fd20a6a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
?まなか(プロフ) - 江川ちゃん、!…いいですねぇこういうライバル的な存在…!くっ、続きが気になりすぎて夜も眠れない…!! (2018年2月11日 19時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ?まなかさん» そう言っていただけで嬉しいです!! 更新頑張りますね!! 尊いと言われてとっても嬉しいです! ありがとうございます!! (2018年1月16日 15時) (レス) id: fd20a6a3d2 (このIDを非表示/違反報告)
?まなか(プロフ) - はあぁ、尊いです。こんな素敵な小説があっただなんて、、早く気づきたかった!!乱歩さん好きいい!!作者様神いい!!更新頑張ってください!応援してます!!! (2018年1月15日 1時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月海 | 作成日時:2017年2月4日 18時