私たちの主従関係【太宰治】

１３ ページ15

.







「A〜!!!」



　僕、中島敦の上司は目の前で甘ったるい声を出しながら入社希望の女性に抱き着き、スリスリとしているだらしない蓬髪の男性、太宰治さんだ。



こうみるとだらしなく、頼りのない人だと思われるが其れは違う。探偵社の要、乱歩さんに並ぶ頭脳派で元ポートマフィア最少年幹部。
一応、頼りのある人なんです。






「治さん..み、皆さんみてます...っ、」
「恥ずかしいのかい？ふふ、照れるAも愛おしいねぇ。」




.....頼りがいのある人なんです、よ？
僕がそう思っていると乱歩さんが珍しく目を開きながら、真面目な顔で言葉を発した。

「太宰。悪いんだけど其の娘借りるよ。面接を始めるって社長が」




社内の空気が一瞬で締まり、太宰さんの緩みきっていた頬はきゅっ、と引き締まる。
入社希望の女性...基、Aさんの元まで歩いて、彼女の腕を引っ張ると乱歩さんは社長室の方まで歩き出した。


　太宰さんが酷く恨めし気に乱歩さんをみていたのは忘れよう。そう心に深く誓った。

１４→←１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す