【桃井さつき】大嫌いと塗り固めた【黒バス】

14.共通点 ページ14

.





小中学校で私、桃井さつきは一度も虐められたことがない。無視をされたことは一度だけあったけど、それもすぐに無くなった。

妬んだり、裏で陰口を言われているのは知っていたけれど直接手を下されることは早々なかった。



だけれど、お姉ちゃんは小中学校で何回も虐められている。無視をされたり、仲の良かった人を脅したり、暴力を振るわれたりもある。

その光景を私が目撃したら、お姉ちゃんは声を上げて「彼方にいけ！」と叫ぶ。先生に言っても、お姉ちゃんは「そんな事されてませんよ」と言う。


お姉ちゃんは虐めを隠蔽している。
ずっと、ずっと隠し通している。




「あ…っ、お、御早う！お姉ちゃん!!」



私が挨拶をすると、「ん」とだけでも返してくれるお姉ちゃん。いつもは目で頷くだけなんだけど、挨拶してくれるってことは何かいいことあったのかな。と思う


青峰君からのLineが届いたのを理由に、一旦その場を離れる。青峰君からLineが届いたって言うのはまぁ本当なんだけど、本当はその場を離れた理由はそれじゃない。


お姉ちゃんの好きなPさん。
昨日新曲が出てたらしいけど、昨日は敵選手の情報をまとめるのに時間がかかって聞けなかった。


だから一度部屋に戻って、制服に着替えたり、課題チェックをしながらPさんの音楽を聴く。




「夕暮れ時に微笑んだ…。」



お姉ちゃんが好きそうなフレーズだなぁ。と思って目を閉じる。切ない世界観に包まれそうになるけれど、それは帰ってから。




「行かなきゃ」



制服を着て、課題や教科書を持って、鞄を持つ。当たり前のことをして、朝練が始まる前に学校へ行く。


それがマネージャー。
私とお姉ちゃんを繋ぐ共通点の一つ。

だから私は頑張れるんだ。

15.感覚→←13.部屋の中

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す