【おそ松さん】恋時雨の下でキミと

たった一人 ページ24

「でもま、気づいたっていうのは良いことなんじゃないの？」




「良かったね」とやや冷たい言葉を送れば、兄さんはいつもの笑みを見せた





「ん」とした返さなかったけど、その顔は確かに嬉しそうで




かく言う僕も、実の兄が人並みに恋愛をしてるという事に改めて嬉しい感情で溢れていた







「まっ、そうなればカラ松兄さんとも対等になったんだから、油断は大敵だよ」



「俺がアイツに負けるわけねぇじゃん」



「それはどうかな？
カラ松兄さん、イタイけど結構後輩の子たちからモテてるし」



「はぁ！！？あいつがぁ！！！？！」





ガバァ、と目を見開いて身を乗り出した兄さんは「あのカラ松が！？」とバカみたいに驚いている






「そりゃそうでしょ
日常茶番時あんなイタイ台詞言われるのはアレだけど、演劇だとそんなイタさも王子様に早変わりなんだから」



「げえ、あいつが王子様って・・
まだ俺の方がぽいだろ」



「兄さんは精々通行人Bぐらいだよ」


「なんっでだよ！！！」





ハン、と鼻で笑う僕に「お前なんてマンホール役だわブワァーカ！」とバカ丸出しの台詞を吐いてふて寝するおそ松兄さん



っていうか誰がマンホール役だ






・・・まあ、いいや


今日はかなり大きな収穫が出来たし

ようやく兄さんもやる気を出してきた





ヒーローもヒロインも、たった一人



それは劇でも恋愛でも、同じこと







「楽しみだなぁ」




まっ、他人の恋愛には興味ないんだけどね








.








「・・・・。」






この会話を聞いていたのは、僕たち二人だけじゃなかっただなんて



その時の僕らは知る由もなかったーーー・・

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