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【天使の像に絡まる薔薇】
Aはトムの襟を躊躇なく開き、首筋をなぞる。この皮膚の下に、血管を巡る血液が全身を循環しているはずで。あぁ。そうだ、だから。
きっと陶器のような白い肌に歯を立ててしまえば、熟れた果実の如く真っ赤な鮮血を味わえる。喉を鳴らし、震えながら唇を首筋へと近付ける。
「A」
ふと、囁く声が聞こえた。静かに顔を上げれば、緋色の虹彩と視線が交わる。途端にAはピンで額の中に縫い付けられた蝶のように固まる。
『あ、……あ、ぁ』
言葉にならない羅列を吐き出し、トムから手を離してソファから覚束無い足取りで後退する。鼓動が鼓膜を破るのではないかというほどに大きい。
今、自分は何をしようとしたのだろう。冷や汗が吹き出てきた。目頭がどうしようもなく熱くて堪らない。喉からヒュッと空気が漏れた。
『あぁ、トム、トム。ごめんなさい』
「A、どうしたんだ」
『私、私ッ……!!どうしよう、もう無理なのかしら。このままじゃ誰かを傷付けてしまうかもしれない!!』
「A」
『ごめんなさい、ごめんなさい。違う、違うの。こんなことするつもりじゃなくて、私は違う。ダメなのに、ヤダ……』
「A！！」
大きな声で名前を呼ばれ、祈るように両手を組んでいた手首を握られる。Aはやっと落ち着くと同時に嗚咽が零れ、涙が溢れた。
「大丈夫だ。僕は君に傷付けられてなんかいない。押し倒されただけでAが不安がるようなことは何一つない」
『ち、違うの。ふ、ぅぅ……、』
「何も違わないさ。どうせ寮にはまだ誰も帰ってこない。泣いてもいいよ。そして思う存分泣いた後にA、君の隠している秘密を教えてほしい」
ぎこちない動作で抱き締められ、背中を擦られる。Aは頷き、その温もりに身を任せた。寮の談話室に雨音共に静かなすすり泣くが響いた。
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (
レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです！文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです！更新大変かと思いますが頑張ってください！続き楽しみにしています！ (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年6月5日 17時
