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【水槽に沈んだ薔薇】
この教師のことをAはとても好いていた。誰にでも分け隔てなく接し、学ぶ意欲を持つ生徒にはできる限りの援助をしてくれる。
確かにややグリフィンドールに肩入れしていると言われればそうかもしれないが、他の先生方に比べれば断然マシな方なのは確かだ。
『何か御用でしょうか、ダンブルドア先生』
「先日の授業の詳しい内容が乗っている本を手に入れたからね。君に貸してあげよう」
『まぁ、本当に!!』
そう、本当に良い先生である。スリザリン、特にトムなんかは彼のことをひどく嫌っているようだが、Aはそんなことはない。
でも強いて言うのであれば、彼は何故かAとトムを引き離したがっているように感じるのだ。まぁ、そう感じるというだけなのだが。
ダンブルドアはたまに探るような視線でトムを見つめている。心の奥底を覗くように、何もかもを見透かしてしまいそうな視線を注いで。
『……ねぇ、先生。先生はトムの事が嫌い?』
「いいや、そんなことはないさ。ただあの子は少しばかり心を闇に侵食されている」
『闇?』
「あぁ、孤独を抱えてね。だからA、君が彼を支えてやってほしい。間違った道に進まないように。では私はこれで」
分厚い本を受け渡すとにっこりと笑顔を浮かべたダンブルドアは、廊下をゆっくりと進んだかと思うといきなりくるりと振り返った。
「そういえばA、無理はしていないかな」
『無理、ですか?』
「あぁ、疲れているようだからね」
探るような瞳。トムに向けられているものとは少し違うようだが、居心地が悪い。Aは静かに深紅の瞳を伏せて、小さな溜め息をつく。
『……大丈夫です。無理、はしません』
「……そうかい。何かあったら誰かに頼るといい。君はそれをするのがひどく苦手なようだけれど、誰かに頼ることは大切だ」
『えぇ、先生』
今度こそダンブルドアは廊下の奥へと消えていく。彼の背中が見えなくなるまで見送ると、Aはそっと己の細い首に指を這わせた。
『……血が、』
血が欲しい。
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです!文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです!更新大変かと思いますが頑張ってください!続き楽しみにしています! (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります! (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2021年6月5日 17時