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【花弁の少ない薔薇】
するり、と髪を彩っていた黒いリボンが解ける。はらはらと銀髪が空を舞い、月の雫のように輝く。Aはゆっくりと後ろを振り向く。
こんなちょっかいを出してくるのは一人しかいない。羽ペンを持つ手とは反対の手で髪を抑え、ニヒルな笑顔の彼に文句を告げた。
『ちょっと、止めてくださらない?』
「それは無理だね。Ms.スリザリン」
「悪戯も程々にしろよ、マルシベール。A、リボンを貸してくれないか」
『エイブリー、居たなら止めて』
「おい」
そこで紅茶を飲んでいたトムが咎めるようにエイブリーを睨む。此処はスリザリンの談話室。運が良いのか、今日は他に誰もいない。
エイブリーはそんなトムを特に気にすることなく、慣れた手付きでAの髪を編み込むと手元にある黒いリボンで器用に結んだ。
『ありがとう、エイブリー』
「止めなかったお詫びって事で。まぁ、こうしてAの髪をいじれるのは俺にとってもプラスだし」
「ちぇっ、良い子ぶっちゃって」
「元はと言えばお前がAの髪をほどくからだ。いい加減に毎度の如くするのは止めろ」
「痛って！！ひっでぇ、リドル君!!そうでもしなきゃAちゃんが構ってくんないからじゃん。見てよ、これ!!」
叩かれた頭を擦りながらAの書いていた羊皮紙を取り、トムの目の前にずいっと差し出す。そこに書かれているのは吸血鬼について。
「吸血鬼(ヴァンパイア)?」
『勝手に読まないで』
「何でこんなの調べているんだ?人ならざる者でも他にもっとあるだろ。レポートでもあるまいし」
『私が何を調べようと勝手でしょう。たまたま読んだ小説に出てきたから調べてみただけ。何か文句があるの、トム』
「いいや。詮索して悪かった」
羊皮紙は取り上げられ、代わりにAが差し出したのは先程まで写していた吸血鬼についての本。かなり厚みがあり、年季もある。
トムは軽くパラパラと目を通し、再び紅茶をすする。やや冷めた紅茶は不味くも旨くもない。不貞腐れたマルシベールがクッキーを摘まむ。
最近、トムが共に行動するのは主にこの二人。女癖が悪く、チャラいマルシベール。猫かぶりで狡猾さは一流のエイブリーである。
「にしても本当にAちゃん、美人だね」
『ありがとう。そう言ってくれて嬉しいわ。ヴァルブルガ先輩の厳しいレッスンのおかげね』
「……」
「リドル、男の嫉妬は見苦しいぞ」
「黙ってろ、エイブリー」
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (
レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです！文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです！更新大変かと思いますが頑張ってください！続き楽しみにしています！ (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります！ (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：セニオリス | 作成日時：2021年6月5日 17時
