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【摘まれた薔薇】
「あ______、」
廊下を歩いていたトムは、中庭のベンチに座っているAを見つけた。声をかけようとして、慌てて口を閉ざす。先客が居たからだ。
茶髪に色素の薄い瞳。ハッフルパフの制服を着ている。その華やかな顔立ちに見覚えがある。確か入学の時に同じ船に乗った女子だ。
「_____ていう事があったのよ」
『ふふ、クローゼったら』
実に年頃の女の子らしいトークだ。それだけなら別に特に気にしなかった。トムの目を奪ったのはAの柔らかな笑顔だった。
「は……?」
見たことのない年相応の笑顔。自分には見せない笑顔。彼女の笑顔といえば愛想笑いや苦笑い、優雅に微笑む表情のみのものだ。
愛らしい笑い声なんて今まで聞いたこともない。どす黒い不快感に襲われた。独占欲が渦巻き、目の前が真っ赤に染まる。瞳が紅い。
なんであんな女が。自分よりも劣っているクセに。愛称で呼ばれているのも気に食わない。そして何より自分が知らない笑顔を知っている。
『……トム?』
「え」
唐突に名前が呼ばれる。顔を上げれば、深紅の瞳と視線が交わる。自分の瞳の熱が次第に引いていき、やがていつもの闇色に戻った。
話し終えたのだろうか。先程まで彼女が座っていたベンチには、あの女子生徒の姿はなかった。目の前のAが不安げな顔をしている。
『どうかしたの?……調子悪い?』
「い、いや。少し目眩がしただけだ。それよりもさっき其処のベンチで話してた子って誰?」
『クローゼの事?彼女、クローディアっていうの。ハッフルパフの一年生で私とトムと入学の時に船で話した子』
「仲、良いんだね」
『えぇ、とっても!!』
「……そっか」
そういえば最近は二年のヴァルブルガ・ブラックとも寮内ではずっと一緒に居るな。そんなことを思い出して、眉間に皺を寄せる。
あぁ、やはり不愉快だ。
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あまね(プロフ) - ヴァンパイア⁉️めちゃ好きです🫶 (9月9日 21時) (レス) @page32 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
くりきんとん - 主人公の秘密だったりリドルの独占欲がじわじわと感じられる描写など、すごく面白いです!文章も細かく書かれているため内容が薄すぎなくてスラスラ読みやすかったです!更新大変かと思いますが頑張ってください!続き楽しみにしています! (2022年3月20日 15時) (レス) id: aa56424b90 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - つづきが気になります! (2022年3月20日 0時) (レス) @page28 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - トム・リドル大好きなんです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年6月12日 1時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:セニオリス | 作成日時:2021年6月5日 17時