逃げ出した花嫁 ページ9
私は此の身を捧げても良い。
けれど…、私は。
「あの人達の操り人形にだけはならないわ」
絶対に私が私の意思で決める。
「今頃王宮は大変なのでしょうね」
人知れず安堵したのも事実だった。
結婚するのは本当に大事な人とが良いから。
「俺がさらってやるよ」
中原がそんな事を言った。
「私が連れ出してあげるよ」
太宰も言った。
不覚にもときめいてしまうのも事実だ。
仕方ない二人は綺麗だから。
何となく言い訳を唱えた。
「逃げ出した花嫁なら、俺が貰ってやるよ」
「私が花婿から奪ってあげるよ」
「…犯罪者になるわ」
二人の目が本気だった。
しかねない声色と表情だ。
「其れでも良いぜ?」
「今から奪ってしまおうか」
中原は疑問形だったのに太宰のは決定事項に聞こえる。
「遠慮して置くわ」
何となく後退する。
「此処にずっと居るといいよ」
太宰が柔らかく微笑んだ。
「いずれは…帰ると思うの」
私の国に帰りたい。
あの国は私の国だから。
逃げて来たけれど、私は王の座を譲る気は無い。
「何で？帰らなくて良いじゃあ無いか」
するりと手を握られる。
「手前を危ない目にあわせる奴等の所に帰るのか？」
其れでも、私は。
「其れが私の業だから」
此れは運命で、私は王の座を継がないといけない。
例え命を落としてでも。
「そんなの私が壊してあげるよ」
「俺は手前と離れたくねぇ」
何でこんな事を言ってくれるの？
帰り辛いよ。
「…少しだけ此処に居るわ」
其れだけしか言えない。
私は王だから。
「そうか、じゃあ王宮の話を聞かせてくれないかい？」
「面白く無いわよ？」
「良いんだよ」
少し口籠りながら私は口を開いた。
「私達の国はとても綺麗で、戦争が絶えなかったわ」
毎日毎日誰かが死んでいた。
「争いの種何て何でも良かったの。退屈でたまらなかった王が国民を虐殺していたの」
私の親は威厳のある人だけど、退屈していた。
「君の両親か…」
太宰がそう言った。
苦笑してしまう。
「ええ、だから周りには虐げられたり色々されてきたわ」
其れを嘆いた事は一度も無かった。
「私はそんな生活の中で自由が欲しかったの」
何よりもその事に飢えていた。
「綺麗な国だったけど、外にだけは出れなかったの」
出てしまえば死んだも同然なのですから。
「其の気持ちを結婚が決まった時に私は自覚してしまったの」
「だから、私はあの日兄妹からも逃げて海から出たの」
自由を此の手で取る為に。
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心結(プロフ) - いえいえ！笑 小説書き頑張ってね(*^^*) (2017年9月14日 17時) (
レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 心結さん» 分かるよー！ありがと(≧▽≦) (2017年9月14日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
心結(プロフ) - 多分誰かは分かると思いますけど笑 色々読ませてもらいますね、爆笑 個人的にこのお話は結構好きですよー。 (2017年9月14日 17時) (レス) id: ccce44416b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花 | 作成日時：2017年3月31日 9時
