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本気だよ? 太宰治 ページ41

太宰side
「奏!好きだよ!」

「ん?そう、餓鬼が色気づいては駄目だよ?」

ニコリと奏が笑い私の頭を撫でた。

子供扱いして…。

私よりも随分高い身長の彼女を見上げる。

確かに私はまだ子供だ。

私よりも6歳も上の奏からしたら14歳の私は子供だろう。

「私はもう14歳だよ?」

「まだまだ餓鬼じゃないか」

ニヤリと笑みを深めて私を見下ろす彼女。

「私より少し背が高いだけだろう?」

「少し?追い付いてから言い給え」

クスリとまた笑い私の頭に手を置いた。

「子供扱いしないでよ」

むっとしてそう言うが、彼女からしたら確かに私は子供なのは事実だ。

今直ぐに大人になりたいよ。

そうして彼女の隣を歩いていたいよ。

「でも少し背が伸びたね」

「直ぐに奏を追い抜いてあげるよ」

ニヤリと彼女を真似して笑みを深める。

まだ私は子供でも、直ぐに追い付いてあげるよ。

「餓鬼の発想だねー」

「餓鬼じゃないよ!私はもう大人だよ」

其の言葉に奏はくつくつと笑い声を零した。

「太宰、大人って言うのはねぇ、声を荒らげないのだよ?」

また教育か、彼女は直ぐに私を教育しようとする。

お陰で話し方も思考も森さんよりも奏に似てきたよ。

「大人と言うのはねぇ、子供を餓鬼呼ばわりしないのだよ?」

お返しに返すとさぞ楽しそうに彼女が笑った。

「ははっ、子供は子供らしく大人の真似などせず甘えて置けば良い」

「大人の真似では無くて私は奏が好きなのだよ」

そう答えると、彼女は目を丸くした。

そうして長いまつ毛が2回瞬きした。

「大人になったら来なよ、餓鬼が色気づくんじゃない」

楽しそうにそう返される。

信じていないのだね。

「私は本気だよ」

「大人になってみると一時の迷いだったと分かるさ」

そんな訳がない。

私は本当に奏が好きなのだから。

「…太宰、大人の様に自分の看情さえコントロール出来ない内に愛だの恋だの歌うな」

「…子供扱いしないでよ」

彼女の言ってる事は何時も正しいが此ればかりは譲れないよ。

「そうだねぇ、君が大人になっても変わらないのなら私を迎えに来てよ」

「勿論だよ、君の左手の薬指を空けて置き給えよ」

「そうだねぇ、楽しみにしとくよ」

奏がまた楽しそうに笑った。

「絶対に捕まえてあげるよ。私は本気だから」

ーーー

幼い私がした彼女との約束。

さて、叶えに行こうか?

「ねぇ奏、私はもう大人だよ?」

ほんと苛つく 太宰治→←花吐き病って知ってるかい? 太宰治



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彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» ありがと (2017年3月20日 17時) (レス) id: 81cc73b64b (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» はい。 (2017年3月15日 23時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» え、本当ですか!? (2017年3月15日 23時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)
桜唄(プロフ) - 彼岸花さん» 済みません、もうはずせてようですよ? (2017年3月15日 22時) (レス) id: 920de4e9ca (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 桜唄さん» やってみます! (2017年3月15日 22時) (レス) id: 96fec89993 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:彼岸花 | 作成日時:2017年2月20日 18時

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