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好きなところ 【毒島メイソン理鶯】 ページ6

トントントン...。
軽快な音が森に少し響き、耳に入る。
野菜を切る小官の背中に、もたれかかるように座っている彼女。

「うぅ...なんにゃんだよあのクソ上司...!なぁにが『若いんだからこれくらいできるよね』だぁ!こちとらもうちょいで三十路だよ、あぁ?」

泥酔してしまっている。
彼女はこんなことになるのはごく稀なのだが、今日は相当疲れたのだろう。着いた瞬間に酒に手を伸ばした。

「もう少しで夕飯ができる。大丈夫か、A。」
「んー...?あぁ、平気平気。それにしてもごめんねぇ、いつも愚痴に付き合わせてさぁ...。」

振り向くと、少しだけ申し訳なさそうに眉を下げる彼女。そんな彼女が愛おしく、思わず頭を撫でる。

「構わない。それでAの気が晴れるのなら、小官としても本望だ。」
「うふふ...理鶯だいすきぃ。」
「...そうか、小官も愛している。」

酔った勢いとはいえ、こういう類のことは少しばかり心臓に悪い。酔った彼女にはいつも翻弄されている。


「エヘヘ〜、照れるなぁ。


例えばどんなところが好き?」
「...全部、というのはダメだろうか。」
「ダメでーす、頑張って一個に絞ってくださーい。」


背中越しにアハハと笑いながらいう彼女。これは随分難関な質問だ。

彼女は容姿も可愛らしいが、それに負けず劣らず心も綺麗だ。人のことをちゃんと見ていて、とてもしっかり者で、責任感がある。
何よりも優しい。人を気遣う心を誰よりも持っている。
彼女の良いところなんて、無数にあるのだ。


その時ふと、目の端にあるものが映る。思わずそれに手を伸ばし、摘み取る。

「...ん?どしたの理鶯。」
「これが答え、というのはどうだろうか。」

そう言って摘み取ったその花の棘を取り、彼女の髪に刺す。

頭に疑問符を浮かべてその花に触れた彼女は、その花が何かわかったようで、小さく微笑んでこう答える。


「最高の答えだね、理鶯。」









【野バラ】...「優しい心」

異色な彼女 【飴村乱数】→←独占欲 【入間銃兎】



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設定タグ:ヒプノシスマイク , 短編集 , 花言葉   
作品ジャンル:恋愛
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桜月花(プロフ) - 蒼桜さん» コメントありがとうございます!本当ですね、ありがとうございます。直させていただきます! (2019年6月2日 14時) (レス) id: ab99525799 (このIDを非表示/違反報告)
蒼桜 - いつも楽しく拝見させてもらってます。独歩の話の中で【チグリジア】が【チグジリア】になってます。 (2019年5月5日 15時) (レス) id: d562e64b61 (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - 0077さん» リクエストありがとうございます!書かせていただきます! (2019年3月9日 21時) (レス) id: ab99525799 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!一二三さんのお話で女性恐怖症が克服できてなくて…みたいな感じのお話がほしいです!! (2019年3月9日 17時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
桜月花(プロフ) - 半分ニートガールさん» そうだったんですか!ちょうど推しをかけて良かったです!また何かありましたらぜひ、よろしくお願いします! (2019年1月22日 18時) (レス) id: 8714acda80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜月花 | 作成日時:2019年1月19日 20時

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