【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ9)

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私は今、1ヶ月ぶりに家に戻っていた。

イル兄と一緒に任務をこなしたり、別行動で任務をこなしていたりと色々動き回っていたらこんなにも時間が経っていた。

家族への挨拶を済ませ、またすぐに飛行船に乗り込む。

イル兄は別行動となっているが、彼から言い渡された仕事はまだ終わっていないのだ。

操縦者に待機を言い渡して、とある人物に電話を掛ける。

『…はい。』

「こんにちは、マチ。」

『Aか。どうしたの、怪我でもした？』

電話越しに聞こえた声の持ち主は、ひと月以上前にディナーを一緒にした幻影旅団のマチ。

「いや？マチとのディナーが楽しかったからね。またどうかなと言うお誘い。」

『…それは嬉しいけど、それだけじゃないでしょ？』

「ついでにキミの団長さんにお届け物があってね。イルミからだと伝えてくれれば分かると思うんだけど。」

やり取りに少しの緊張が走る。

やはり、個人的にもらった電話で団長へ繋いでもらうのは良くなかっただろうか。

しかし、相手の連絡先を聞く前にイル兄は次の仕事に行ってしまったのだ。

撤回するべきか、と視線を宙に彷徨わせた時、彼女が小さく吹き出す音が聞こえた。

続いてくすくすと、耳元で心地のいい笑い声が響く。

彼女はひどく上機嫌のようだった。

『なにそれ、アタシがついでじゃなくて、団長がついでなの。』

「それは当たり前だよ、じゃないとマチに連絡しない。どうにかして団長さんとコンタクトを取るさ。」

『それにアタシの名前は覚えてるのに、団長の名前はもう忘れたんだ。』

「私の人に対する忘れっぽさは尋常じゃないよ。自慢じゃないけどね、2ヶ月以上会わなきゃ全員忘れる。…マチを忘れるのは少し惜しかったから、また会っておきたかったんだ。」

同年代の知り合いっていうのは、なかなかできない。

向こうはそうは思っていないだろうけど、同性なら尚更だ。

『もしかして、口説かれてる？』

「…ふふ、そうかもね。」

闘技場でのやり取りの再現に、こちらも笑ってしまう。

どうやら、機嫌を損ねたわけではないらしい。

『いいわ、今から言うところで待ち合わせ。団長にも会わせたげる。』

「…や、荷物をマチが渡してくれれば別に会わなくてもいいんだけど。」

『だめよ。』

ぴしゃり、と私の言葉を切ったマチ。

とても楽しそうに彼女は笑いながら言った。

『団長が、会いたがってるから。』