27 ページ27
．
校長先生は、ふわふわの毛並みの手を組み、首を捻る。
相澤先生はまだ半信半疑で、八木先生は彼自身のことなのにポンポン進んでいく話にオロオロしていた。
「…Aさん、キミはプロヒーローの中で特に憧れている人はいるかい？」
「特には…あ、でも相澤先生と八木先生は一昨日憧れになりました」
「じゃあ、行きたい事務所はないんだね？」
「そうですね」
うんうん、と頷く校長先生の中で、急速に話がまとまっていく。
よし、と言葉を零した彼は、言った。
「治療はこれから少しずつ、行おう。毎日ね」
「…毎日、ですか？」
「それから体育祭の後にある指名はオールマイトが出す。それを受けて、学校で職場体験だ」
…職場体験…？
どうやら、体育祭の後には職場体験というイベントがあるらしい。
体育祭の活躍を見て、ヒーロー達からの指名をもらい、その中から職場体験場所を選ぶ。
つまり、私はオールマイトの指名を受けるという形で職場体験中は治療に専念できるという算段だ。
「…わかりました。胃の戻し手術も、学校で？」
「リカバリーガールがいるからね、そこは心配しなくてもいいよ」
「はい。いつから始めますか？」
とりあえずは、自身の治癒からということになった。
今日は体力を回復しながら、リカバリーガールの個性を利用して治療。
完全に治った時点で、八木先生の治療を開始。
条件は、リカバリーガールが必ずいて、オールマイト以外のヒーローが学校内に居ること。
「…了解しました」
「それでA、もう一つ聞きたい事がある」
「……『西園寺 姫子』の事でしょうか？」
相澤先生の声に、低い声で返す。
それまで自分のことで挙動不審になっていた八木先生も、険しい表情を作った。
「一応調べてみたんだけど『西園寺 姫子』という名前の子は、日本には存在しないんだ」
「…『西園寺 姫子』は、私の…天敵です」
「っえ、大事な人とかじゃないの！？」
「天敵です」
「でもキミあんなに、」
「天敵です」
校長先生に返した言葉に、八木先生が動揺する。
しかし、言葉を遮ってまで畳み掛ければ納得していなさそうにソファに沈み込んだ。
「でも、キミにとって抑止力になる存在ではあるんだね？」
淡々と私の痛いところを作く校長先生。
これは、正直…否定できない。
「そうならない、と答えたいところです。が、私は実際動揺しました」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 967人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
びだくおん - 25のところ相澤先生のセリフ『礼』が『例』になっていると思いますよ〜 (2018年9月26日 20時) (
レス) id: 928f36eedf (このIDを非表示/違反報告)
裕貴雛@きょーたん(プロフ) - 突然すみません。こいつ何言ってんだと思うかもしれませんが書きます。replaceという単語が書き換えるという意味でで出てきてるのですがreplaceの方が一般的に置き換えるの意味の方が強いです。また、exchangeは商品やお金に対して使うのでchangeをオススメします。 (2018年7月11日 4時) (レス) id: 630a80e8a5 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - すっごく面白いです！！！！これから少しずつわかってくるであろう真実にドキドキします！誰落ちかも楽しみです〜！更新楽しみにしてます！ (2018年6月28日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
ユニ(プロフ) - 紹介文の漢字が英雄になっています！間違ってたらすみません。 (2018年6月24日 18時) (レス) id: dff716be10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年6月21日 2時
