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「50分前後の…活動限界ですか」
「そうなんだよ〜困っちゃうよねぇ」
「だがマッスルフォームは90分行けそうなんだ」
私の声に一番に返したのは校長先生で、次に人差し指を振りながらオールマイト、もとい八木先生が言う。
相澤先生は、聞く態勢を崩さない。
一昨日のヴィラン襲撃の際の脳無との交戦で無茶が祟ったらしい。
明るい調子で言ってはいるが、彼自身も焦りを感じているのだろう。
なら、私は…。
「…そのことで一つ、提案、というか…実験したいことがあります」
「ん?なんだい」
興味津々、とばかりにこちらを見る校長先生。
私は、自分の両手のひらをみる。
「私の個性は、交換と書き換えです」
「うんうん、体力テストでも素晴らしい結果を出していたね」
「…ボール投げと50メートル走以外は、『書き換え』の能力を使いました。…身体の一部を、条件に適正に合致するように変えたんです」
ジッとこちらを探るように見る相澤先生と八木先生。
校長先生だけは、楽しそうに聞いている。
「握力は腕と手の筋肉を発達しているように『書き換え』、立ち幅はふくらはぎをバネのように『書き換え』、持久走なら長時間走っても疲れないように身体を『書き換え』ました」
「…何が言いたい」
「脳無を、思い出してください。あの超再生力…私の力でオールマイトの細胞を、」
「『書き換える』ってことか…!」
相澤先生の表情が険しくなる。
私自身も説明しておきながら、正直自信はない。
ただ、いつも怪我をする緑谷くんの細胞を書き換えることは可能だろうかとずっと考えていた。
「私…呼吸器は半壊、胃は全摘してるんだけど…」
「…理論上、体内に残っているものなら可能だと思います。胃は、あのオールマイトの細胞…とって置いてないわけがないですよね?」
「フフ、君はとても頭が良い子だね」
ポムポムと肉球の宿る手で、膝を叩かれる。
そうやら、彼らの緊迫した空気に押されて、自身の膝に爪を立てていたようだ。
「…合理的じゃないな。今から実験しても、」
「いいえ。実験は昨日、やりました」
頰に張っていたガーゼを剥がす。
そこには昨日あったはずの大きな切り傷がなくなっていた。
「…ただ、酷く消耗します」
「交換の方は?」
「そちらはないです。ですが、細胞の書き換え…特に治癒関係は疲れます」
「ふむ、こちらにしても是非と言いたい案だけど…問題は時期だね」
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びだくおん - 25のところ相澤先生のセリフ『礼』が『例』になっていると思いますよ〜 (2018年9月26日 20時) (レス) id: 928f36eedf (このIDを非表示/違反報告)
裕貴雛@きょーたん(プロフ) - 突然すみません。こいつ何言ってんだと思うかもしれませんが書きます。replaceという単語が書き換えるという意味でで出てきてるのですがreplaceの方が一般的に置き換えるの意味の方が強いです。また、exchangeは商品やお金に対して使うのでchangeをオススメします。 (2018年7月11日 4時) (レス) id: 630a80e8a5 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - すっごく面白いです!!!!これから少しずつわかってくるであろう真実にドキドキします!誰落ちかも楽しみです〜!更新楽しみにしてます! (2018年6月28日 22時) (レス) id: be8945b53e (このIDを非表示/違反報告)
ユニ(プロフ) - 紹介文の漢字が英雄になっています!間違ってたらすみません。 (2018年6月24日 18時) (レス) id: dff716be10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2018年6月21日 2時