どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ7
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「…礼は必ず」
「要りません。どうしてもというならまた皆さんで飲みにきて下さい」
「…ああ」
神妙に頷いた彼に笑って、バックヤードに繋がる扉を閉めた。
あの後、案の定傷のせいで熱に浮かされた彼を三日間甲斐甲斐しく世話をしてやった。
その間もちろん営業はしなかった。
別にここを荒らされた所でどうということもないが、相手は潜入捜査官をしているFBIだ。
きっと、私自身も気づかないうちに何かやらかしている可能性もある。
私は決して、頭がいいわけでは無いから。
翌日、開店してすぐに顔を出したのは緋色さんだった。
私の顔をみて、それから安心したような表情を浮かべた彼はいつものように笑った。
「この店畳ん仕舞うのかと思った」
「辞める予定は今のところないですね」
「贔屓にしてるんだから、そう簡単にやめないでくれよ？」
その言動からは、諸星さんが怪我をしてここで身体を休めていたことは知らないようだった。
話さない方がいいのかと判断し、いつも通り接客をする。
「今日はお一人ですか？」
「あー、透の方はなんか上司に気に入られたみたいでな。最近女性幹部に休みも引きずられて行っちまうんだよ。諸星は…簡易出張？みたいな？」
「はは、安室さんはとてもかっこいいですし、わかる気がします。諸星さんもお忙しいんですねぇ」
女性幹部…バーボンに目をつけるとしたらベルモットかな。
『一度目』の時も、しばらく見なかったらなぜか目をつけられていたしね。
そんなことを思いながら、何も頼まれていないが日本酒の熱燗を作って彼の目の前に出す。
きょとんと目を丸くした緋色さんに、くすりと笑う。
「この店を贔屓にして下さる緋色さんにサービスです」
「…嬉しいこと言ってくれんねぇ、どう？たまにはAちゃんも一緒に飲まない？」
ちなみに、諸星さんを休めるために今日まで休みにすると張り紙をしてあった。
しかし昨日帰ってしまったため、急遽今日は店を開けることにしたのだ。
つまり、今日は店を閉めてしまっても構わないということ。
「…なんで緋色さんは今日いらっしゃったんです？」
「あー、なんとなぁく。開いてればいいなぁ、今日ここで飲みてぇなぁ…って思って駄目元で」
「…負けました。ご相場に預かりしましょう」
にこにこと笑いながらそう言った姿に、言うなれば絆されてしまった。
嬉々として店の看板をクローズ表示にしに行く彼の背中に、苦笑した。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
