どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ6
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「…諸星さん、貴方そんな所で何をしているんです？」
「っ、Aか…何でもない。気にするな」
買い物の帰りだった。
元々暗い路地裏は、冬に入ったこともあって闇に溶けるのが早い。
その闇の中で壁に身体を持たれさせる影があった。
…怪我か。
「歩けますか。すぐそこ、バックヤードの入り口なんです」
「構うなと、言っている…！去れ」
「でも、さっきから足音近づいて来ていますが」
バタバタと複数の足音と、男の声がなにかを探すように叫んでいる。
ニット帽の陰から覗いた鋭い眼光に肩を竦めれば、舌打ちが帰ってきた。
「さっさと立ち上がってください。面倒なのは御免ですよ」
「…悪い、世話になる」
苦々しい顔でお礼を言われて苦笑する。
血痕が入り口に続いていないか確認しつつ、彼を支えて建物に入った。
エレベーターを使い、私が借りているフロアへと辿り着く。
「寝て下さい。どこに怪我したんです？」
「…腹と、肩だ」
「脱がしますよ」
一応断って服を脱がせ、傷の位置を確認する。
死に直結するようなもので無いことを確認して、止血をした。
粗方止まったのをみて軟膏をたっぷりと塗ったガーゼで傷口を覆い、伸縮性の強い包帯をキツめに巻きつける。
「…い、てぇ…もう少し優しく、できないのか…」
「これ以上優しくしてあげる義理はありませんね。もう少し頑張ってください」
腹と肩を両方同じ手当を済ませた。
それから痛み止めの薬と抗生物質の錠剤、そして水を諸星さんに手渡す。
「これは？」
「痛み止めと抗生物質。下熱剤もあるんですが、まだ熱は出ていないようので取り急ぎこれだけで」
安静にしているようにと言い渡して、机に向き合い一枚の紙にペンを滑らせた。
それから、部屋を出ようとすると何をしているのかと呼び止められる。
「店を休みにする謝罪文を貼ろうと思いまして」
「…すぐに、出て行く」
「そんな怪我で出て言ってどうするんです。まだ貴方を追いかけていた輩はいるでしょうし、そうなったら私は迷わず警察と救急を呼びますよ」
要約すると、大人しくしてないと警察呼ぶぞ、という脅しだ。
グ、と言葉に詰まった彼を見て、貼り紙をしに部屋を出て行く。
ぼそりと聞こえてきた小さな謝罪と感謝に、鼻で笑って肩を竦めた。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
