【黒バス】浮気心とうわの空。【黄瀬 涼太】 fin.

浮気 34 ページ35

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「…ウソだ。」





ポツリと出た言葉は震えていた。


雨足が弱まり、だんだんと視界が開けてくる。


その中に移ったのは、黄色い彼。





「嘘じゃ、無いッスよ。」





そう言って、一歩一歩近づいてくる。


表情は見えなくて、余計私に不信感を抱かせた。


私自身も、じりじりと下がっていく。





「…逃げないで、A。」





腕を掴まれて、引き寄せられた。


涼太の声は、思っていたよりもずっと低くて…震えていた。


濡れた制服越しに伝わる涼太の温もりと、速過ぎる鼓動の音。




…ぁ、涼太の匂いだ。




そう感じた瞬間、引き締まり始めた涙腺がまた、緩み始めた。


甘い香水の香りも、化粧の匂いもしない、涼太自身の香り。




「だって…私の事、嫌いなんでしょ…？」


「もう、飽きたん…でしょ？」


「…私よりも、あの子達の方が良いから…浮気したんでしょ…？」





涙声を隠すことなく、話していく。


涼太は、何も言わなくて。



ああ、やっぱりそうなんだ。



そう思って、また新しい涙が溢れていった。





「…A、俺ね？









ずぅーっとAの事しか見てないんスよ。」





そう言って、涼太は悲しそうに笑った。

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