浮気 14 ページ14
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「ねぇ〜リョオタァ…。」
「…なんッスか。」
喉を震わせる、低くなった声のトーン。
細められる俺の、切れ長の瞳。
香水臭い女の手を乱暴に振り払う。
Aとは違う、ゴッテゴテのネイルが施されてる爪。
Aの指先は、手入れが行き届いて綺麗に切り揃えられている爪。
Aとは違う、無駄に着崩して下品さを漂わせる制服。
Aの服装は、皺一つシミ一つない美しく正しく身に纏う制服。
Aとは違う、キツく吐き気を誘う香水の香り。
Aの香りは、髪から香る爽やかな柑橘系のシャンプーの香り。
Aとは違う、欲に塗れて俺を自己主張の為の道具と見る眼。
Aの眼差は、暖かくて俺を安心させる柔らかい眼。
全部、全部…ムカつく。
俺の望んでいる人の掠りもしない女。
俺のものであるはずのAを連れて行った男。
俺の浮気を知ってもなお、何も言わないA。
「ねぇ〜、リョオタァってばぁ…。」
原型を留めていない俺の名前。
『涼太、おはよ。』
鈴を転がしたような、いつまでも聞いていたい声。
思わず、俺の隣の席を見る。
『…ぁ、涼太と隣だ。…嬉しい。』
はにかむ彼女は今、俺の隣にはいない。
いるのは、必死に媚を売り優越感に顔を醜く歪める香水臭い女だけ。
…ああ、アイツの隣には今。
笑顔のAがいるのかよ…?
どうしようもなくイラついて目の前の机を殴る。
静まった香水臭い女共に冷たい視線を送って言った。
「…………スンマセン、ちょっとどっか行ってて貰えないッスか?」
笑顔を作って言えば、多少怯えつつも女何処かへ行った。
俺は深いため息を吐いて、グッと目を瞑った。
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何卒 - 祐希と付き合いたいわ…。 (2020年1月6日 20時) (レス) id: 58baba6999 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 祐希君イケメン過ぎ……もう付き合えよ (2019年1月1日 23時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
ヴィア(プロフ) - 読みに来たのは2度目ですが、本当に、ゆーきくん…好きです…。 (2018年12月30日 11時) (レス) id: 43edf93385 (このIDを非表示/違反報告)
黎譁 - いい!凄くいい!何もかもがとってもいい! (2016年4月3日 1時) (レス) id: 885de11009 (このIDを非表示/違反報告)
メロン - 江ノ島くぅぅぅぅん!!。貴方イケメソすぎるよ!!。 (2016年2月13日 13時) (レス) id: c145b12640 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2015年5月4日 0時