届かない、言葉。volume2

暗闇 ページ5

…ここ、どこ？






なんで、こんなに暗いんだろう。









「…、あ」








そうだ、階段から落ちた。



あの時、ちゃんと上杉くんのこと守れたかな。







守れたよね、最後に声、聞こえたもの。









…あれ。



「…てことは私…」









死…死んじゃった…とか…？









え、うそ。いや、でも、ここ病院じゃないし。









…本当に、死んじゃったのかなあ。









こんなに、真っ暗なんだ。天国じゃないよね。







私、あんなにがんばったのに。

悪いことなんて、してないはずなのに。





死んだあとも暗いとこにいなきゃいけないの？









光を、見せてほしかった。









どう思ってるかな、皆。





少しは、悲しんでくれてるだろうか。








いや、ないよね。むしろ…清々する、だろうなあ。









だって私、もう、誰にも望まれてないもの。







きっと死を惜しむ人も、いない。







あまり変わらないんだな、死んでも。









変わらずに一人ぼっちだもの。









皆、私のことなんてすぐに忘れちゃうんだろうな。








生きてる時でさえ、気にもかけられなかったんだから。









…悪い意味で気にかけられてはいたけど。









あっけなくて、寒くて、暗くて。









ただ、それだけ。









寂しいとか、苦しいとか、悲しいとか、怖いとか。









そんな感情も沸いてこなくて、ぼうっと一人そこに佇むだけ。









虚無感。それしかなかった。

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