侍の国で目覚めるということ。【銀魂】 (ページ6)

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伍　加筆ページ6

『早朝、いいですよね。空気がこう…シンプルな感じで

ちょっと良い子になった気分。あ、でも隊士の皆さんは鍛錬があるから早起きは普通なのかな』

隣に座ってなんとなく思ったことを口にするだけ

でも不自然さや不快感は全くない、絶妙に成立した会話をいくつか繰り返している

どうやら緊張も、居心地の悪さも、帰る素振りもまだ見せない。

『斉藤さんも今朝はどなたかとお手合わせでしたか？』

一に永倉、二に沖田、三に斉藤…だったっけ。強すぎると相手に困りそうだよなぁ

そういえば武州組のなかで終兄さんだけ二刀流なの、独学かな？

近藤さんたちと道場で出会う前までに、流派を変えられないほど染み付いた、
それか変えたくないと思うような特別な師範さまだったとか

『ん、それにしては汗もかいていないし、じゃあお散歩？』

気になって少し返答を待ってしまうけれど、相変わらず。

くすと笑って、お散歩するにもいいですよね、だとか言葉を続ける少し前

また迷うように小さくそわそわとしたあと一枚の紙を渡された。

ここに来たのは置手紙が目的だったのかも？解釈一致です、終兄さん

簡素に折りたたまれたノートの1ページ

まさか依頼書ではないだろうけど、見知らぬ客人に隊長格から用事、ってそれはそれで怖いような

あぁ、Z帳を見つけたこたくんの気持ちが今なら痛いほどわかるよ

読まないことには進まないのだけど…

えぇい、南無参！！！

「“大きすぎたりごわごわしたり、不満があればすぐ言ってほしいＺ”」

『ぷ、ぅっふふ…あはは！』

心配を返せと叫ぶ代わりに吐き出す笑い声

渡したまま空中を彷徨っていた両手をわたわたと上下に動かす仕草がなんとも小動物的だ

それが余計に可笑しくて、息を吸いなおしてもしばらくは笑いから離れられなかった

くつくつと未だに込み上げようとするのを嚙み殺してどうにか深呼吸

『このズボン、斉藤さんのだったんですね』

抑えきれなかった笑みを従えて頭を下げた

きっと誰かが部屋まで運んでくるのを目撃したんだろうな

声をかけることは出来なかったけどスルーもできなかった、と。

その上でアフターフォローも欠かさないって

根は優しいの代表例か！！ほんと、なんで友達いないんだろうこのひと

差し引いても伝わらないくらいの口下手ってこと！？

モノローグもナレーションもないこの場所で誤解に晒された優しさが、

いつまでも消え入らずにいる心の強さを備えていることがなぜか酷く嬉しかった