#027 上杉side ページ28
.
誕生日。
…とはいえ、特別な思い入れも特に無い。
親は忙しいし、兄弟もいない。それに、プレゼントとか貰える訳じゃ無い。周りは騒ぐけど、俺は興味が無い…、持てないのが現状な訳で。
男子は、誕生日なんて祝い合わないのが普通。……女子はいちいち気にするらしいけど、そんなのめんどさいし。
なのに、俺の誕生日、今年は祝ってくれるヤツが現れた。
最近知り合ったばかりの、塾の友達…といっていいのか。しかも、俺が苦手とする女子なのに。
名前は立花。
どこか陰があるような、明るいような。俺の会ったことのないタイプの女子だった。……嫌悪を感じないのすら、不思議に感じないような___
って、俺、何言ってんだ。
「お誕生日、おめでと」
「……サンキュ」
受け取ったのは、小綺麗なラッピングがされた箱。中身は、昨日言っていた通り、チョコレートだろう。
俺は別に、甘いものが好きじゃない。チョコレートなんて、頼んじゃいなかった。
なのにそうなのは、俺の誕生日…2月1日が、バレンタインに近いからだろう。
だから誕生日プレゼントも兼ねて、と渡されたもの。
本命とか義理とか、最早そういうのすらない、ただのチョコレートだろう。
……いや、その可能性も無くはない、か。
鞄に入ってるものは、たぶん‘そういうの’があるんだろう。…キョーミ無いけど。
でも、こいつのは、ちょっとだけ……
……ああ、もう。何考えてんだよ俺……
「……あのさ」
「何?」
「これ、バレンタインも兼ねてるんだろ」
「……そうだよ?」
「…いや、いいよ。ただの確認」
ああ、やっぱり何の意識も無いのか。
それに、俺は残念がってる。まだ、その意味なんて知りたくなかった。意地みたいなもので、奥底じゃ分かってたかもしれないけど。
「じゃあな。
…立花に祝えてもらって良かった」
「う、うん…。私も楽しかったから!」
ニコッと微笑む立花。
じゃあね、と手を振る立花に、ああ、と、なるべく自然に笑い返す。
家に帰って、まず初めに手を取った。
チョコレート特有の、甘い、少しだけほろ苦い香りが広がる。
……美味そう。
初めの感想はそれだ。
…甘いものは好きじゃないけど、コーヒーの様な、程よい苦さが口に広がって行く。…美味い。
「……ホワイトデー……か」
考えたこと無かったけど。
…こいつに対しては、頑張ってみるのも悪くないかもな。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←#026
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羽月 リオン(プロフ) - きららさん» ホントですか!ありがとうございます!!私のノリが嫌いじゃないとは……ある意味小説を褒められるよりも嬉しいかもですね(笑) (2018年4月5日 8時) (レス) id: 4e2a259151 (このIDを非表示/違反報告)
きらら(プロフ) - おもしろいです!そしてなにより作者さんのノリが嫌いじゃない…っ!! (2018年3月29日 21時) (レス) id: 482c54d942 (このIDを非表示/違反報告)
羽月 リオン(プロフ) - 眠い少女さん» 合作ですか! おお…私そういう経験はなくて不慣れなのですが、そんなヤツで良ければ…( 是非お願いします。 (2018年3月23日 21時) (レス) id: 4e2a259151 (このIDを非表示/違反報告)
眠い少女 - 羽月 リオンさん» リオンさん!僕と合作しませんか? (2018年3月23日 20時) (レス) id: 5372210ae9 (このIDを非表示/違反報告)
羽月 リオン(プロフ) - 星宮のあさん» コメントありがとうございます!更新頑張らせていただいます♪謝る必要ないですよ、語彙力なんて私の方が無いですから!(おい (2018年3月17日 19時) (レス) id: 4e2a259151 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:羽月リオン | 作成日時:2018年1月20日 22時