なんか、憑かれた。

回想 ページ26

駅までは5分ほど。道はずっと真っ直ぐだし、Aは駅前の駄菓子屋にひとりで行ったこともあったから、家族は許可を出した。


これが間違えだとは知らずに。

少しだけAが遅れて歩いていた。

まだ家族が見える距離。

その距離で、Aの左から、猛スピードの車は近付いていた。

最初に気付いたのは優太だった。

「A!!!!危ないいいいい!!!!!」

そしてその声に最初に反応したのは


夏美だった。

「！A…！」

夏美がAの名前を呼び終わる前に、Aは既に車の軌道からは外れていた。

しかし、軌道に入ってしまった人物が一人。


あとコンマ数秒で、車はその軌道に入ってしまった夏美に当たる。



短い時間だった。




でも、誰もが長く感じた。


コンマ数秒とも、一分とも、一時間とも取れるような時間が過ぎた瞬間。





夏美の体は
飛び散り

Aの、おねえちゃんとおそろいだと喜んでいた白いスカートに

夏美の赤(あか)い、紅(あか)い、朱(あか)い、緋(あか)い花が

咲き乱れたのだった。

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