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「リドル君!」

彼の手が私の背中に回った瞬間、がくんと体が落ちてきた。

気を失ったらしい。

それから数分目を瞑ったままで気が気じゃなかった。

もし、このまま起きなかったら。

最悪の事態を考えるだけで心臓が押し潰されそうになったけれど、程なくして意識を取り戻してくれたのだ。

強張った体から瞬く間に力が抜けた。


「良かったぁ」
「ボクは…一体…?」
「今は何も考えなくていい。寝てろ」


べそべそ泣いてる私の頭を撫でながらリドル君を見る先輩。

だから私は妹じゃ…まあ良いや。


「そうやって甘やかすからちょっと怒られただけで暴走とかするんすよ!」
「ストレスを溜めるとろくなことがねぇんだゾ」
「でも、みんな無事で本当に良かった…」


確かに庭は滅茶苦茶になったし私達自身も凄く危なかった。

けれど大きな怪我をした人は出なかった。

不幸中の幸いだ。


「ボク……本当は、マロンタルトが食べたかった」


ぽつりと呟いたリドル君。

彼の口から次々に吐き出された言葉達。

それが、ずっと重たい圧力を背負ってきたのだと明示しているようだった。


「みんなと食後のお喋りだってしたい…」


今まで散々我慢してきたからなのか一度開いた蓋は簡単に塞がらないようで。


「ずっと、もっとトレイ達と遊びたかった…」


次の瞬間、大声で泣き出したリドル君。

まるで小さな子供のようだ。


「俺も悪かった。お前が苦しんでるの知ってたのにずっと見ない振りをしてた」


幼馴染みだからこそ、どうしたら良いか分からなくなる時もきっとある。

本人達は仲が良くても親には受け入れられなかったりする。


以前、リドル君が何気無く呟いた言葉を私は覚えていた。

何処か悲しそうな表情を浮かべていた事を、私は覚えていたのだ。


「だから今日は言うよ。リドル、お前のやり方は間違ってた」

けれど、やっぱり私じゃ力不足だった。

「みんなにちゃんと謝るんだ」


何も気付けなかったのだから。


「ごめんなさい…ごめんなさい……っ!」


たくさんの涙を流しながらもきちんと言葉にしてる。

思わず抱き締めてあげたくなったのは庇護欲だろうか。


「ゴメンの一言で済むわけねーだろ!絶ッッ対許してやらねー!」
「トラッポラ君!?」


誰かと喧嘩とかあんまりした事ないから分からないけどさ、ここは仲直りする流れじゃないの!?


違うの?

え、私が間違ってるの??


絶対に許さないからとか言っちゃって良いの??

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りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時

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