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「リドル君!」
「痛…え?ボク、殴られた…?」
あまり状況を飲み込めてないであろうリドル君に、トラッポラ君がどんどん攻め込む。
「子供は親のトロフィーじゃねーし、子供のデキが親の価値を決めるわけでもないでしょ」
「落ち、着いて」
君が真っ直ぐな子だって事はよく分かったから、今はその口を閉じてどうか抑えてほしい。
何だかこれ以上争いが続いたら良くない気がした。
このままじゃ。
「Aちゃんだめだってば」
「でもリドル君が!」
だって、音が──。
「なにも知らないくせに…ボクのことなにも知らないくせに!」
「あ〜知らないね。知るわけねぇだろ」
鼓膜が破けそうな音がする。
リドル君から悲鳴が聞こえる。
「あんな態度で分かると思うか?甘えてんじゃねーよ!」
「うるさい、うるさい、うるさい!!黙れ!!」
このままじゃ本当にだめだ。
「とまって…」
「リドル、落ち着け。決闘はもう終わってる!」
「挑戦者は暴力行為で失格!」
クローバー先輩と学園長が止めに入ってくれたお陰でその場は収まった。
と、思った。
「新入生の言う通りだ!もううんざりなんだよ!」
誰かの言葉と同時に、彼に向かって卵が投げつけられる。
「なんで」
なんで、なんで、どうして。
どうしてそんな酷い事をするの。
折角二人の集中が切れたのに。
今なら収束出来たのに。
「いいだろう、名乗りでないなら全員連帯責任だ!」
とうとう堪忍袋の緒が切れてしまったようで、みんなに向かって魔法を唱えた。
寮生達の首に付けられたハートの首輪。
彼らは慌てて逃げ回った。
「りどる、くん」
魔法を使い過ぎたら危ないって教えてくれたのは、リドル君だ。
あの時助けてくれたのは紛れもなくリドル君だ。
力尽くでも、止めなきゃ。
「…貴方に」
「おやめなさいローズハート君!ルールを守る君らしくもない!」
学園長が私の声を遮った。
そして此方を見たかと思えば視線を外す。
「トレイ、これやばいよ。あんなに魔法を連発したら…」
「リドル!もうやめろ!」
みんなの音が入り混じって怖い。
頭が割れそうだ。
落ち着いて。
お願いだからみんな落ち着いて。
「今すぐ撤回しろ!串刺しにされたいのか!」
「やだね。絶っ対にしねぇ」
「うぎぃぃぃ!」
地面に植っていた薔薇の木が全部浮き上がっていく。
「ガチでやばいって!お前ら逃げろ!」
そしてそれらは、トラッポラ君を目掛けて突っ込んでいった。
「危ない…っ避けて!!」
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りん(プロフ) - ラムさん» はじめまして!そう言っていただけると此方も凄く嬉しいです!ゆるゆる更新になってしまうかもしれませんが、頑張ります!ありがとうございます! (2020年9月27日 0時) (レス) id: 6f476b47f8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話しの続きが気になる (2020年9月26日 16時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りん | 作成日時:2020年8月27日 15時