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#11 ページ11

side A



「Aさん?……薬ですか?」


夜、治療のために大量に渡された薬を誰もいなくなった食堂で飲んでいると、後ろから赤葦に声をかけられた。
不意で驚いたはずみに、処方箋の入った薬の袋を落としてしまった。
床に中身が散らばる。


やばい、と思った時にはもう遅かった。
赤葦は私が動くよりも先にそれを拾った。



「そ、薬。……また、風邪酷くなっちゃって、それで、」
「ちがいますよね」

とりあえず何とか誤魔化そうと言葉を並べ立てる私を、赤葦は一蹴する。

じっと鋭い眼光に射抜かれて、嘘をつく気も失せた。
赤葦は物分りがいい。察しもいい。鋭いやつ。


「なんで、わかっちゃうかなあ、赤葦は」

「ちゃんと、食べれてるんですか」

私の言葉を無視して赤葦はそう言った。


私も赤葦の言葉に返さない。
噛み合わない会話が続いた。


「……あのね、赤葦、私ね……膵臓癌、なの」


そう言うと赤葦が息を呑むのがわかった。

少しの間沈黙が訪れる。

先に破ったのは私だった。





「ね、赤葦、みんなには言わないで。お願い、黙ってて」
「……そういうわけには、」


知られたのが、木兎光太郎や、みんなじゃなくて、赤葦でよかったかもしれない。
私は赤葦の手を取った。
私は引き下がらない。




「ね、お願いだから。迷惑なんてかけない」




「……わかりました。俺からも、お願いですから、無理はしないでください」

私に押し切られたのか、赤葦はそう言う。




私がぎゅ、とその手を握っても、赤葦は握り返さなかった。



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Rikka(プロフ) - 瑠衣さん» そんな風に言っていただけて本当に嬉しいです(;_;)ありがとうございます!完結までお待ちください、! (4月11日 18時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 泣きました。涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください。応援しています。 (4月10日 20時) (レス) id: 44c29d146e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月23日 22時

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