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放課後になって部活が始まった。
宮兄弟を見ると脳裏に昼間の、犬か猫か、または狐か、のような2人の姿が浮かぶ。
こんなことではまた甘やかしてしまいそうだ、と頬を叩いて気合いを入れ直す。
「なんや南、大丈夫か」
たまたまそばを通り掛かった北に声をかけられる。
「全然、大丈夫。気合い入れや」
私がふーっと意気込むと北は そうか、と笑っていた。
ドリンクを作って、タオルを整理して、ボールの気圧を計って、休憩。
タオルとドリンクをセットにして置いておく。
「南さん!」
飲み終えた人のスクイズボトルとかタオルを片していると侑が声をかけてきた。
「プリン美味かったです。あ、ドリンクも美味いです」
ありがとうございます、と言う彼にしっぽが見える。
そりゃよかった、と言おうとして言葉を飲み込んだ。
「侑くーん!」
「治くんー!」
ギャラリーから降る女子の声。
ここ最近増え続けている。
「……集中せえよ」
と2人の背中を軽く叩く。
悪いのは宮兄弟では無いが、そう言う他無かった。
「「っす」」
重なる2人のどこか申し訳なさそうな声を背に、私は再びボトルとタオルを片し始めた。
応援されるのは良い事だけれど、正直こういうのは違うよなあ、と思いを巡らす。
ほら見ろ、角名がすごい顔してるぞ。
北……はいつも通りだ。
尾白と大耳は苦笑いだし、赤木は2人をおちょくってるな。
でも1番迷惑なのは先輩か。
ほどなくしてスパイク練が始まった。
私はボール出しをする。
宮兄弟が何かする度にギャラリーが沸く。
もう、これは、あれや、説教やな。
赤木にボールを出しながらそう心に誓った。
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部活が終わって、更衣を済ませて、
「部室閉めますよー」
といつものように部室を覗く。
「あ、先輩お疲れ様です」
「おう、おつかれ。ありがとうなぁ」
すれ違う先輩たちに挨拶をして中を覗くと、残っていたのは数人だった。
「ほれはようしいや、閉めるで」
先輩たちは誰もいないので遠慮なく急かす。
そこに宮兄弟の姿を見つけてハッとした。
そうだ、説教説教。
「あ、そや宮」
「「はい?」」
返事でさえ少し生意気な双子を仁王立ちで見下ろす。
「お前らな、アレ何とかならへんの」
「アレ?って何ですか?」
「すっとぼけんなよ治。うっさいねんアレ。先輩ら迷惑しはるやろ」
とぼけた顔の2人を更に威嚇する。
さあ楽しい説教タイムやで。
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時