稲荷崎のオトン【ハイキュー!!】

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インターハイ、春高と続けて好成績を残した稲荷崎男子バレー部はどんどん注目されていった。

私としては誇らしかったし、単純に嬉しかった。


でも注目されたらそれだけ、私を疎ましく思う人も増えるのは当然だ。



だからだろう、３学期になって、嫌がらせは少しエスカレートした。


朝練を終えて下駄箱を開けると、『マネージャー辞めろ』と書かれた紙が入っていた。
朝から気分が悪い、と紙をぐしゃ、と握り締めると、

「なんや南、ラブレターか」

と言う尾白の声がして肩が跳ねた。

「お、おん。まあそんなとこや」

そう言った私は上手く笑えていただろうか。



昼になって、北は誰かに呼び出されていた。
最近たまにこういうことがある。

だから、最近は1人でさっさと食べるようにしていた。
周りの目も怖いし。


それから何となく試合の記録をしたり、色々メモをとったりしている自分用のノートをパラパラとめくる。

この試合はこうだった、ああだった、この日はあんな事があったなあ、と感傷に浸ってしまった。

春高を終えて、燃え尽きてしまったのだろうか。

ぼーっとすることが多くなった。



そんなことではだめだなあ。
と机に突っ伏していると
「なんや南。もう食べてしもたんか」
と北がどこかから戻ってきた。

何だか顔を見れなくて、
「おん」
とだけ返してまた突っ伏していると、くしゃ、と頭を撫でられた。


急なことで心臓が飛び跳ねた。
思わず顔を上げて北の方を見ると、彼は何食わぬ顔をして弁当を広げていた。


触れられた頭が妙に暖かかった。


「……何やねん」


ぼそっと呟いた声は教室の騒がしさに溶けていった。


でも不思議で、少し元気になれたような気がした。

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