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side 侑


角名とならんで花火をしていた。

「なあ角名、南さんてちゃんと女子やったな」

パチパチと音を立てる明るい光の向こうに見える南さんを見つめてこぼした。

「俺は初めから女子にしか見えなかったけど」
「いやそういうことやなくて!」

あのレースがあしらわれた黒の水着。ちょっとだけ見える腹回りとおへそと胸元。ちょっとだけっていうのが、逆にヤラシイ。
あんなん見たらこれから南さんのこと直視できひん。
……いやそれはないな。

すぐさま俺を怒鳴る南さんが思い浮かんで、水着姿の彼女をかき消した。


でももしかしたらほんまに角名の言う通りかもしれへん。
オトンみたいなのは、俺に対してだけで、皆には可憐なマネージャーに、見えてたのかも。


それで思い出した。
それにしても気になるのはサムのことだ、と。

「てか角名、サムってもしかして好きな人おったりするん?」

俺より平和にサムと付き合っているこいつなら、と聞いてみた。



「……南さんじゃないの?」

返ってきた答えは落雷のような衝撃を俺に与えた。


「なあやっぱりそうなん?そうやんな?」
「どうみてもそうじゃん」

どうみても。
どうみても俺にはそうは見えへんかった今まで。

「俺も聞いた訳じゃないから」

関西人で言うところの、知らんけど、を覚えたらしい角名は、気になるなら聞けば?とサムの方を顎で示した。


「おいサム、ちょっとこっち来いや」

一瞬顔をしかめたサムは、不服そうにしながらも俺と角名の元へ来た。

「なに」

「お前、南さんのこと好きらしいな」

サムはさっきみたいに顔をしかめた。

「バレバレやで」


俺がそう言うと角名が『お前だって今知ったんじゃん』という顔をしてきた。全部顔に書いてる。

「……だからなに」

開き直ったらしいサムはそう言った。

「何ってお前、南さんには北さんが、」
「そんなん知ってる。だから別に、何かしようとか思ってない」

そう言うサムは、随分と開き直ってて、でもそれにしては悲しそうに顔を歪めた。

普段は憎たらしくてどうしようもなく腹が立つけど、今日は優しいしたろかな、なんて思ったりした。


「……でもそれは北さんやからやし、お前とかやったら病院送りにしてでも付き合うわ」


俺のそんな慈悲を知りもしないサムはそう言った。
「ほんまに腹立つわお前」
喧嘩が始まるのかと角名がスマホを構えるけど、そうはならなくて、珍しく意見が合ったらしい俺たちは、この日から南北親衛隊を結成した。

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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました!!最高です( ; ; ) (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした!! (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rikka | 作成日時:2020年3月18日 10時

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