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宙に投げ出された体は北に受け止められていた。
「ほんまに子どもになってしもたんか」
「ぅ、ごめん……」
北に抱きついたままの体勢で、ポンと頭を撫でられた。
想像以上の心地良さに、離れ難くなった。
今の北は眠すぎる朝の布団みたい。
「もうちょっと、こうさして」
恥を忍んで、北の胸に顔をうずめる。
北の匂いにひどく安心した。
ひっこんだ涙がまた出てきそうだった。
「南疲れとったんやなあ。気づいたれんくてごめんな」
私の頭を撫で続ける北の手はとてつもなく優しかった。
北は稲荷崎のオカンだと言われてるけど、本当に母親のようにやさしかった。
ごめん、なんて言わないで欲しい。
北が1番忙しくて大変なのは知ってるから。
ダムが決壊したみたいに、私はまた泣いていた。
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「……か、…なみ」
遠くで声がする。
「…たか、みなみ」
だんだんハッキリしてきて。
「A」
名前を呼ばれてハッとした。
「落ち着いたか」
気がつくと私はベンチで北に寄りかかって寝ていたようだった。
「立ったまま寝てもたからびっくりしたわ」
北から告げられた真実にぞっとする。
だって北がここまで運んだってことやろ、怖い。私重いのに。
でもそれよりも、
「今、名前……呼ばんかった？」
「A？呼んだで。全然気付けへんかったから。嫌やったか？」
寝起きの私はどうも素直なようで。
「い、いや……、そっちの方がええ！」
「そうか」
北は小さく笑った。
それからこんなことを言った。
「なら、俺も呼んでもらわんとアンフェアやな」
「信介？」
「なんで聞くねん」
何かおかしくて、2人して笑った。
懐かしい感じがした。
学年が変わる度に、仲が深まるな、なんて思った。
「元気なったか」
ひとしきり笑って、帰ろうと立ち上がって北がそう言った。
不思議と本当に元気になっていた。
「うん、ありがとう」
明日からまた何でも頑張れる気さえしていた。
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なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - うびゃぁ…………今まで読んできた中で一番好きです… (2021年4月10日 16時) (
レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
依(プロフ) - ちびさん» そう言ってもらえると嬉しいです^^お読みいただきコメントまで、本当にありがとうございます！ (2020年6月5日 22時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ感動しました！！最高です（ ; ; ） (2020年6月2日 20時) (レス) id: c0c643d2d0 (このIDを非表示/違反報告)
Rikka(プロフ) - りるとさん» そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます^^ (2020年4月17日 8時) (レス) id: 1c396819ac (このIDを非表示/違反報告)
りると - めちゃくちゃいい話でした！！ (2020年4月15日 0時) (レス) id: 615da3bcde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rikka | 作成日時：2020年3月18日 10時
