9-2 翔side ページ25
いやいやいや!
何言ってんだこの母親?!
俺に女物の浴衣を着れって言うのか?!
バッカじゃないの?!
てか俺男、だよね?いや男だよ!
唯一の息子だよ!?
何言ってんだ?この人!
華恋｢あの、翔?だ、大丈夫?｣
｢これが大丈夫な訳ないだろ?!
なんで俺が女物の浴衣着るの!?
俺やだよ!｣
華恋｢えー?似合うと思うのに〜
それにこれ女物じゃないわよ?
大丈夫
これは男性でも着れるやつだから
それに、この浴衣を着た貴方を
私は見てみたいの｣
｢母さんが?｣
華恋｢うん、だから来年
貴方が中学生になったら
これ、来てくれるかしら?
これお母さんのお願いね♪｣
いや、意味がわからない
何で俺?
もっと着るやつ居るでしょ
｢ねえ母さん、何で俺なの?
もっと居るじゃん彩姉とか
詩織姉さんとか美香とか春美とか
ってかどっちかって言うと
女兄弟に似合うんじゃない?｣
華恋｢うーん、でもね?
私はどーしても
貴方の浴衣を見たいの!｣
｢見たいなら
いつものやつでいいじゃん
男性用の｣
華恋｢それじゃ嫌なのよ｣
｢どうして?｣
華恋｢それは、ほら、あれよ
貴方が男の子だから!｣
理由になってねえ!
｢理由になってないよ母さん｣
華恋｢まあ正確にはこの浴衣を
大事に着て欲しいの
だからこの浴衣を見る度に
目を輝かせていた貴方なら
きっと大事に着てくれると思ったの｣
｢そうなんだ｣
華恋｢うん、だから翔にあげたいの｣
｢……来年でいいんだよね?｣
華恋｢うん、来年でいいよ｣
｢…分かった
母さんがそこまで言うなら
俺、着るよ｣
華恋｢ホント?!ありがと〜｣
そう言い母さんは笑顔で喜んだ
これがまだ母さんが亡くなる
2週間前の話
この2週間後に悪夢を見るとは
俺はこの時
1ミリも思いもしなかった
9-3 翔side→←第9話｢Rolling Days｣翔side
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作者名：LiMe | 作成日時：2019年5月18日 18時
