Restorm -5つの光の軌跡- 第3部 (ページ24)

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第9話｢Rolling Days｣翔side ページ24

《ここから先は
櫻井さんの過去編です

※実際の櫻井さんの
家族構成とは大きく異なりますので
ご注意ください》

──────────

これは俺がまだ優等生を
演じる前の話

7人家族の櫻井家の
長男坊として生まれた俺は

5人兄弟の中で唯一の息子だった

社長で演出家も務めてる
父親の正司(せいじ)

元ミュージカル女優で
その時育児を専念した
母親の華恋(かれん)

現ミュージカル女優で
持ち前の明るい性格が特徴な
長女の彩芽(あやめ)

オペラ歌手で普段は大人しく優しい
次女の詩織(しおり)

ヴァイオリニストで
仕事の時は真面目を演じてるが
家と学校では少々我儘で甘えん坊の
三女の美香(みか)

俺の唯一の妹で
天才バレリーナと呼ばれた少女
四女の春美(はるみ)

そして当時まだ父親の執事だった
渡辺さん

まさに『華麗なる一族』と
周りに言われ
近所では評判だったらしい

俺自身もこの時は居心地が良かった

それは母・華恋が居たからだ

ある日、親父がこう言った

正司｢連休取れたし
みんなで別荘遊びに行くか!｣

俺を含め5人の子供は喜んだ

俺達は毎年海沿いの別荘で
遊ぶことに決まっていた

そこはプライベートビーチもあって
レコーディングルーム
テラスにレッスン室もあった

それに近くでは夏祭りも
やっていたからそれが楽しみで

予定は1週間後なのに
俺は荷造りしていた

するとそこに母親がひょっこりと
顔を覗かせて
俺を部屋の入口で手招きする

疑問に思いながら母さんの後を追い
母さんの部屋に入ると
部屋の床には浴衣があった

白地で淡い桜の柄が入った浴衣

それは毎年
母さんが着ていた綺麗な浴衣で

しかも母さんは
近所の人や仕事仲間にも
評判の美人だから
俺は目を輝かせた

華恋｢翔これ好きでしょ?｣

｢うん、今年も着るの?｣

華恋｢うーん、どうしよっかな〜
私もうおばさんよ?｣

｢何言ってんだよ、まだ37だろ?
若いほうじゃないか｣

華恋｢んー、でもねえ……
分かった、じゃあ今年は着てあげる｣

｢今年は?｣

華恋｢ええ、来年からは
貴方に着てもらいたいの｣

｢……ん?ごめん母さん
よく聞こえなかった、何て?｣

｢翔、この浴衣、貴方にあげるわ｣

｢……はあ?!｣