橙に幼馴染がいるらしい【stpr】

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Side.J



　『やだ、直人はこっちにして』

　「えっ」


黒やグレー、ブラウンといった服が並ぶ店。

俺を放置して店内をぐるぐる回るA。

かと思えば戻ってきて、俺の手を引いて突然服を合わせてうー、なんて項垂れながら1人で完結してる。

ってのをかれこれ1時間？2時間？

繰り返してる。



モーニングに行って他愛のない話をしたあと。

ショッピングモール内のフロアマップを見ながら、どこ行こうか話をしていた。

が、直人に合う服が分からないから1店舗ずつ見て回らせろ、

そう言ったAは、メンズファッションがある階のうち最上階から降りていくことにしたらしい

俺の手を引いて歩き出した。



　「…なぁ、A〜…俺の服そんなに悩むん…？」

　『当たり前やろ？…直人はジャケット着てほしいし、ジャケットじゃないとあかんわけよ。』

　「なんで？」

　『ポロシャツは田舎になってまう』


そう言いながらも服を漁るA。

ふと、俺はマネキンが着ているバーガンディーのジャケットに目がいった。


　「A、あれは？」

　『うん？…！』


Aはジャケットをじっと見つめて、近くにあるラックから同じものを手に取った。

片腕に掛けていた黒のカットソーと合わせて唸る。


　『…今日の直人は、…おけ』

　「え、なにが？」


何の話なん？

ちょっと俺、怖いねんけど。


　『直人、これ試着してきて』

　「お、おん…」


ジャケットとカットソーを渡して俺を試着室に押し込む。

さっと着て試着室を出ると、Aと男の店員さんがレジ前で話をしていた。


　「すごくセンスいいですね！」

　『ありがとうございます！ただ、あいつに着てもらうならしっかり選びたいって思っただけなんですよ』

　「あなたも今着てる服似合ってますね」

　『あ、本当ですか…？』


…気に食わない。

俺はAに近付いて後ろから抱き締めた


　『わ、ちょ、！』

　「着たで？」

　『！…めちゃくちゃええやん』


俺とAの会話をしていると、さっきの店員がハサミを持っていた


　「お兄さん、タグ切っちゃいますね」

　「えっ？」

　「お支払いは彼女さんがされましたよ」


Aは他の服を見ている。

さっきレジ前で話してたのは支払いしてたんか


　「お兄さん」

　「はい？」

　「とてもいい彼女さんですね」

　「…といってもまだ付き合ってないんですよ」

　「まだ、なんですね」


店員さんは微笑んだ

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