43.静か ページ15
あんずside
静かな薄暗い廊下に出て、カチャリと最後にレッスン室の扉をしめる。
司君はお迎えが来て帰り、凛月君はレッスンが終わったら『ふらっ…』と何処かへ言ってしまった。
だからここに居るのは、なっちゃんと私と、瀬名先輩。
あんず「……」
ゴクリと生唾をのみこみ、瀬名先輩となっちゃんを、目でチラチラと交互に見る。
そんな、恐いくらい静かな張りつめた空気の廊下で、なっちゃんが最初に口を開いた。
嵐「…それじゃあ、泉ちゃん。話を聞きながら歩きましょうか。」
目線を下におとし、静かに話すなっちゃん。
瀬名先輩も静かにコクリと頷く。
この状況になった理由は、スポーツドリンクを取りに行った時の事__
*
瀬名先輩は、スポーツドリンクを飲みたくないらしく、天然水を買うと言ってついてきたんです。
スポーツドリンクには、糖分や塩分が入ってるからね。
泉「ほんっと、ここの学院は冷蔵庫バカみたいあるよねぇ…。」
『スポーツドリンクを数本持つから』という理由で調理室までついて来て、ズラリと並ぶ冷蔵庫を見てつぶやく。
・・・
シーン…という効果音が似合う状況になり、とても息苦しい。まだ、ぶつぶつ文句言ってくれてたほうが、私助かるんです瀬名先輩。
あんず「ん…?」
先輩がひとこと呟いて黙りこむから、静かな調理室からでも遠くのほうの、音がしっかり聞こえてくる。聞き覚えのある声だった。
あんず「A先輩の声がする…近くにいるんですかね。」
その声は大好きなA先輩の声で、女の人は私をあわせて2人しかいないから、聞き間違えるわけがない。
シーンとした、気まずい調理室の空気を少しでも和らげるため、瀬名先輩に話をふるとビクッと反応する。
泉「…あんず、俺は隠れるからAには言わないで。」
静かな声で私に聞こえるように伝えてから、調理室のシンクの影に隠れる。
ど、どうしたんだろう、瀬名先輩…?かくれんぼかな?なんて、あり得なくてバカらしい事を考えて、ほんの少し間をおいて聞き返す。
あんず「え、な…」
貴「あ、あれ……?あっ!あんずちゃんっ!」
しかし、『なんでですか?』って聞き返そうとしたら、A先輩が来てニッコリ笑いかけていた。
『A先輩』に見つからないように、隠れてるわけだから、今は声かけない方が良いんだよね。
……行ってから聞こう。
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れるり(プロフ) - みゅーさん» 教えて頂きありがとうございます!更新があまりできていませんが、応援していただけてやる気がでてきました!更新頑張りますっ (2017年12月29日 22時) (レス) id: 062464fcfd (このIDを非表示/違反報告)
みゅー(プロフ) - コメント失礼します!55話、「スケジュール張」ではなく「スケジュール帳」だと思います!とても面白くて毎回楽しく読ませていただいています。更新頑張ってください! (2017年12月14日 20時) (レス) id: 1f8d5273a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れるり | 作成日時:2017年8月3日 15時