episode7 ページ7
いつもより遅く来たため、オフィスは随分と賑わっていた。
「あ、おはよう。ライナー。今日は遅いんだね」
「ああ、まぁな……」
席に着いてパソコンの電源をつける。
「……今日、あの夢見たの?」
まったく、こいつは察しがいい。
俺は頷く。
「ああ、見た」
「……そっか、実は僕も見たんだ」
「え……」
ベルトルトの言葉に目を見開く。
いや、ベルトルトも見るとは言っていたが、同時は初めてだ。
「また、同じだったよ。ライナーも?」
「……俺も、そうだった」
ベルトルトは「そっか」と言って苦笑する。
「ライナー、あまり気にしない方がいいよ。もう、昔の事だし。僕はそうやって割り切ってる。だから、ライナーも……」
「そうだな」
分かってる。もう随分と昔の事だ。
分かってるけど、あの夢を見る度、エレン達の顔が見れなくなる。
エレン達も気にはしていない様子だが、なんだか、気まずくなるんだ。
ベルトルトは俺が夢を見る度、ああやって励ましてくれる。
これは、若い頃からだ。
今は慣れているが、俺がこの世界に生まれてすぐの頃は
今よりか酷かった。
他の奴も大変だったらしい。
まぁ、今は皆大丈夫そうだけど。
「さて、仕事するか」
俺は自分の仕事をする事に意識を集中させた。
* * *
「おーい、ライナー!飯行こうぜー」
昼休みに入り、マルセルがいつもの通り昼に誘ってくる。
でも、その誘いには乗れなかった。
「……すまん、まだ、終わってない」
「……マジか」
いつもの俺ならこんな事ありえないのだが、あの夢を見た日はいつもそうだ。
その事はマルセルも知っているので、まぁ、察しただろう。
「……昼、なんか買ってくる?」
「……コーヒーとおにぎり」
俺が言うと、マルセルは親指をグッと立て「了解」と一言言った。
そして、オフィスから出ていく。
ふと隣を見ると、ベルトルトが座ったままだった。
「あれ?お前は行かないのか」
「ぼ、僕はお弁当だから……」
「ああ、そうか」
そうだった。こいつは弁当だったんだ。
こいつが俺達と行ってたのは、付き添いだったな。
ベルトルトは隣で弁当を広げる。
「ここで食うのか?」
「うん、ライナーいるしね」
「そうか」
俺は一言言い、再びパソコンに向き直る。
「……手伝おうか?」
「いや、いい。そんな事させたら部長に怒られる」
「でも、今日ライナー、残業だろ?少しぐらい……」
ベルトルトが気を使ってくれている。
本当、こいつは良い奴だな。
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あややや - 素敵すぎました……夢小説も見たいだなんて言えない() (2019年2月7日 23時) (レス) id: ed9fb5d350 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん@アニメ厨 - 最後まで読んで頂きありがとうございます!少し原作のキャラが入っているので申し訳ないです(><)3期でライナーとベルトルトが登場するのが楽しみです! (2018年8月14日 18時) (レス) id: a390c2344b (このIDを非表示/違反報告)
ズッコケマン - ライナーはいい友達がいて安心しました!!本編ではベルさんとアニとユミルしかいなかったきがするので良かったです!ライナー誕生日おめでとー!! (2018年8月14日 10時) (レス) id: fab6254a4d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん@アニメ厨 - しーろん。さん» しーろん。さん!読んで頂きありがとうございます!マジでおめでとうですよね!((語彙力ないですね……これからも完結まで読んで頂けると嬉しいです!! (2018年8月1日 23時) (レス) id: a390c2344b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうりん@アニメ厨 - ズッコケマンさん» リヴァイ兵長は生まれ変わっても凄い迫力ですね……(主に目付きが……)ライナーはサラリーマンになってもカッコイイと思いますよ! (2018年8月1日 23時) (レス) id: a390c2344b (このIDを非表示/違反報告)
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