標的21 デスサイズと実体−２ ページ10
トーマ視点
この隔離された空間は、ボクよりもファルソの方が有利になっている。
ファルソの本当の属性は、嵐。
雪の幹部が不在で――ボクしか雪はいないのだから当然――呼ばれた、借りで幹部になった存在。
彼は風を自在に操る事が出来、この密閉空間で風を避けるのは至難の業なのである。
避けられないなら、消してしまえば良い。
ボクは念を込めて棍の先で地面を強く突いた。
棍先から発生された冷風が竜巻とぶつかり、更に其処へ氷柱を放った事で、竜巻は相殺されて跡形も無く消え失せた。
だが、竜巻の向こうにファルソは居なかった。
後ろから気配を感じ、慌てて飛び退いたが背中に鋭い痛みが走った。
右上から左下に掛けて付けられた傷口から、どろどろとした熱い液体が零れる感触。
痛いと感じたのは一瞬で、次には燃える熱さと痺れがボクの身体を襲った。
｢んぐ、がっ｣
｢まだまだ行くぞ。逃がす物か｣
一度距離を置こうとするが、ファルソが一気に距離を詰めて来た。
『吹き荒れる雪(テンペスタ・ディ・ネーヴェ)』ボクは死ぬ気の炎をイメージして拳を握り締めた。
辺り一面がホワイトアウトし、ファルソの動きが止まった処で『氷魔法』と呪文を唱えた。
幾つもの氷柱がファルソの身体に突き刺さる。
滲み出た鮮血と共に、氷柱はファルソの胸部を凍らせた。
噎せ返り、ファルソの片手がデスサイズから離れた瞬間にもう一度呪文を唱えた。
氷柱がファルソの顔面を刺したのと同時に吹雪が止む。
――『凍りつく武器(コンジェラスィ・アルマ)』。
ボクは氷をコーティングした棍を下から振り上げる。
ぶしゅぅううっ、と目の前で鮮血が噴き出した。
噴き出しているのはファルソの身体では無く、ボクの腹部だった。
「え？」
何が起こったのか分からず、ボクは徐に自分の身体へと視線を下げた。
血塗られたマントは引き裂かれ、中から覗く、腹を真っ二つに分けるように刻まれた大きな赤黒い傷口からは、じんじんと脈動が伝わって来る。
膝から崩れ落ちるボク。
ファルソの持つデスサイズの柄から、長い鎖が伸びていた。
更に鎖の先に付いている鎌の部分には、べっとりとした液体が付着している。
｢どう云う、事だ……？
なんで、鎖が付いて……！？｣
｢俺の武器はデスサイズ(大鎌)じゃ無い。
チェインサイス(鎖鎌)だ｣
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
