標的22 虹の力と終戦−１ ページ11
トーマ視点
｢俺の武器はデスサイズ(大鎌)じゃ無い。
チェインサイス(鎖鎌)だ｣
ファルソは言いながら、顔面の血を拭い取った。
ボクは自らの腹部に手を宛て、呪文を唱えた。
氷によって一時的に止血し、冷たい感覚によって痛みを誤魔化す。
そうして立ち上がったボクは、山本から聞いたスクアーロの忠告を思い出した。
――ファルソの武器には気を付けろ。
これはファルソの武器がデスサイズでは無く、チェインサイスである事を示していた。
デスサイズだと思い込んでいると、隠されていた鎖によって首を絞められてしまうのだ。
(まただ、またイレギュラーが起きた)
心の中でぼやく。
ファルソの武器がチェインサイスだなんて知らなかった。
もっと云えば、武器を小型化していた赤色の宝石からして、イレギュラーだった。
その時点で気が付けば良かったものの、ルールの事で頭がいっぱいになって見過ごしていたのはボクの落ち度だ。
｢俺の視界を一時的に封じ、胸部を凍らせた処までは良かったが……その後が甘かったな。
武器を下ろして諦めろ。
そうすれば、お前も仲間も、楽に逝かせてやる。
無駄な争いをしている時間は無い｣
｢断る。ボクは此処で勝って、ボク自身もあの子も生きるんだ｣
｢その身体では、もう無理だろう｣
｢でも、君だって あまり余裕は無いんじゃないかな｣
血を大量に流したせいか、酸素が少なくなって来たせいか、頭がくらくらして考えが纏らない。
しかし、きっとファルソも同じだ。
臓器までは及ばなかったものの、胸部を完全に凍らせられたファルソが無傷な筈が無い。
その証拠に、先程から彼は浅い呼吸を繰り返している。
ボクの指摘に、ファルソは僅かに顔を歪ませた。
ファルソもダメージを追っている。
ボクの方が圧倒的に不利だが、まだ勝負は決まっていない。
ボクが諦める訳には行かないのだ。
棍をペンダントに戻す。
それから、ボクは胸元のおしゃぶりに手を伸ばし、それを覆っている袋を外した。
途端、眩い光を放つ月白色のおしゃぶり。
ボクは神経を研ぎ澄まし、湧き上がって来る冷たい感覚に身を委ねた。
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
