標的31 てめーが助けないでどうすんだ ページ37
山本視点
「トーマ！」俺は息を切らしながら叫んだ。
しんと静まり返っていたプールには誰もいない。
立っているにせよ、倒れているにせよ、ある筈のポールも無い。
トーマは既に、ベルフェゴールに奪われていた。
だん！ と壁に強く拳を打ち付けた。
体力切れによる呼吸の乱れが、怒りによるそれに変わる。
ベルフェゴールに怒っているんじゃ無い、俺自身に怒っているんだ。
試合が始まったら すぐに向かいに行くと言っておきながら、猛毒なんかに足止めされてベルフェゴールに先を越された。
俺は何時もトーマを、彼女を助けられない。
まだ完全に解毒剤が効いていないのか、ふらついた身体を壁に預ける。
だが、俺はすぐに起き上がり、再び走り出した。
俺は何としてでも、彼女を連れ戻さなければいけない。
動き回ったせいで開いてしまった腹部の傷を抑えながら走る。
校舎の角を曲がる処で「誰だ！？」と聞き覚えのある声がして足を止める。
角の向こうにいたのは獄寺だった。
俺は雲雀に解毒して貰ったが、獄寺も同じらしい。
「雲雀は何企んでんだ」とぼやく獄寺が、何かに気が付いた様に俺の後ろを見た。
｢おい、トーマさんは どうしたんだ｣
｢……プールに見に行ったけど、既にいなかった。
お前も知らないって事は、やっぱベルフェゴールが連れてったって事だな｣
｢なっ！？
てめーがトーマさんを助けねーで どうすんだ馬鹿！｣
くわっと目を見開いて怒鳴る獄寺だったが、自分も助けられなかった事を悔いているのか、それとも今言い合った処で何も変わらないと悟ったのか、俺達の手元にある指輪の話へと話題を切り替えた。
俺の持っている指輪は雨と雲、獄寺が持っている指輪は嵐と晴と雷だ。
残りは雪と霧。
つまり霧戦の行われた体育館にトーマと髑髏が、ベルフェゴールがいる。
――どごぉお！ と校庭から派手な音が聞こえて来る。
ツナとザンザスの戦いは、終盤に近付いているようだ。
｢行くぞ、山本。
何としてでもトーマさんと髑髏を助けて、この戦いに勝つんだ｣
｢おう。
言われなくても分かってるぜ｣
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ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年7月2日 18時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
シロ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみにしております！これからもどうぞ無理をしない程度に頑張って下さい。 (2019年4月27日 13時) (レス) id: 1e9e5f7638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2019年4月27日 10時
